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記事全文を読む→金難民〜金塊密輸に魅せられた人々〜〈第6回「4億8000万円の金塊は国庫へ黄金時代はこうして幕を閉じた」〉(2)「どうしても納得できない」
問題は日本に入れる瞬間だった。
沖縄・那覇空港。15年12月14日夜。
香港から那覇への国際便区間を終え、那覇で燃料を補給しながら国内便へと切り替える。
資格変更はうまくいった。あとは羽田に向けて飛び立つだけ─実行犯たちはそう思っていた。
羽田に着けば、手配した換金業者が待っている。A氏への送金も間もなくだ。
「でも、まさか税関職員がプライベートジェットに乗り込んでくるなんて」
ジェットの階段を降りはじめたとき、下に税関職員たちの姿が見えた。周囲には車も2台。ヒイ、フウ、ミイ‥‥ざっと15人。
「その場でお待ちください」
税関の代表者と思しき男が声を張った。逃げ場はなかった。
機長と副操縦士は別室に連れて行かれた。実行犯の2人は自分の荷物だけを持って降りるよう促され、車に乗せられた。
2人が連れて行かれた先は検査室のような部屋だった。身体検査を受けたが、何も出なかった。手ぶらで搭乗したのだから、当然だ。
問題は貨物室だった。3つのキャリーバッグには当然、金塊112キロがある。
4億8000万円。那覇の貨物室から金塊が姿を現した。Nが「まずない」と断言した税関の検査が、よりによってこの便に入ったのだ。
なぜ税関が動いたのか。
税関職員が必要と判断した場合、たとえプライベートジェットであっても検査されることがあるらしい。その渡航歴から怪しまれていたのか。理由は判然としない中、この便がたまたまその対象になったとみられる。
那覇での発覚から約半年、裏では警視庁と沖縄県警の合同捜査本部が捜査を進めていた。そして16年6月8日、稲川会系組幹部、ジャパンジェットチャーター社長・Nら計6人が関税法違反などの容疑で逮捕された。
改めて実行犯の一人が言った。
「真実を知ってもらいたかったのです」
事件の顚末を頭から追えたのは、その言葉どおり包み隠さず語ったからだ。だがひとつだけ、腑に落ちないことがあるという。
「密輸に関しては猛省しています。でも、どうしても、納得できないことがあるのです」
高木瑞穂(たかぎ・みずほ)ノンフィクションライター。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に風俗や犯罪事情を取材、執筆。「売春島『最後の桃源郷』渡鹿野島ルポ」(彩図社)、「ルポ 風俗の誕生」(清談社Publico)など著書多数。
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