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Posted on 2026年11月02日 06:45

居酒屋で差がつく大人の日本酒流儀「日向燗・人肌燗・ぬる燗・上燗・熱燗・飛びきり燗」の違いってわかる? ツマミとの「最高ペアリング」も…

2026年11月02日 06:45

 11月に入り、朝晩の冷え込みが一段と身に染みるようになると、仕事帰りの赤提灯や大衆酒場で恋しくなるのが、湯気立ち上る燗酒だ。夏場の冷酒一辺倒から温かい日本酒へシフトする左党が増える時期だが、暖簾をくぐって開口一番「とりあえず熱燗で!」と大雑把に頼んでいないだろうか。お猪口を呷った瞬間、ツンと鼻を突くアルコール臭ばかりが際立ち、せっかくの酒の旨味を台無しにしているケースは少なくないのだ。

 日本酒の真髄を味わうためには、温度に対する繊細な意識が欠かせない。大人の粋な嗜み方を指南するのは、唎酒師である。
「日本酒は温度帯によって呼び名が細かく分かれており、30度前後の『日向燗』から、35度の『人肌燗』、40度の『ぬる燗』、45度の『上燗』、50度の『熱燗』、そして55度以上の『飛びきり燗』まで存在します。温めることで米本来のふくよかな甘みや旨味が花開く一方、温度を上げすぎると香りと繊細な酸味が飛んでしまう。特に米の旨味が濃縮された純米酒や、伝統的な仕込みによる生酛(きもと)・山廃(やまはい)系の銘柄は、40度前後のぬる燗に仕立てることで、冷酒では味わえない芳醇なコクとまろやかさが劇的に引き立ちます」

合間に和らぎ水で口を潤しながら温度変化を愛でるのが流儀

 さらに差がつくのが、酒の肴との「温度ペアリング」だ。
「マグロの赤身など脂が乗った刺身には口内の温度に近い『人肌燗』や『ぬる燗』を合わせると、魚の脂が舌の上で心地よく溶け合います。一方、モツ煮込みや豚の角煮、タレの焼鳥といったこってり濃厚な肉料理には、あえて55度前後の『飛びきり燗』をぶつけるのが上級者の技。高い温度とキレのある辛口が口中の脂っこさを綺麗に洗い流し、次のひと口をより美味しく演出してくれます」(前出・唎酒師)

 大衆酒場で粋に楽しむためのオーダー法にも、コツがある。唎酒師がさらに伝授する。
「混雑時に細かすぎる温度指定をするのは野暮ですが、『このお酒、ぬる燗にできますか』とひと言添えるだけで十分、通じます。あるいは徳利と一緒に『和らぎ水(仕込み水やチェイサー)』を必ず頼み、合間に口を潤しながら温度変化をゆっくり愛でるのが大人の流儀です」

 徳利からお猪口へと注がれる温かい一杯。温度の違いが織りなす奥深い味わいを舌先で転がし、秋から冬へと移ろう夜の晩酌を極上の時間へと昇華させたい。

(滝川与一)

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