政治
Posted on 2026年11月02日 07:00

【世界の最凶独裁者列伝】「当選回数はリセットされた」ナゾの方便で君臨し続けたウズベキスタン初代大統領「狂気の無差別発砲」

2026年11月02日 07:00

  2016年に他界するまで四半世紀以上にわたり、ウズベキスタンに君臨し続けた初代大統領、それが米誌で「世界最悪の独裁者」のひとりに選ばれたイスラム・カリモフだ。
「イスラム」という名前ではあるが、自身はイスラム原理主義者でもなんでもない。それどころか、敬虔なイスラム教徒には髭を伸ばしている者が多いことから「髭を伸ばしている男はすべて逮捕して拷問しろ!」などという、とんでもない法令を出し、国内の反体制的イスラム教徒を弾圧した人物として知られている。

 旧ソ連、ウズベク共和国中部の都市で生まれたカリモフは、26歳で共産党に入党。地方で昇進を重ね、1990年にウズベク共和国大統領の座にまで上り詰めた。
 そして翌1991年、ソ連崩壊とともに留任する形でウズベキスタンの初代大統領に就任するが、しだいに言論や政治の自由を奪い、完全に排斥していく。

 独立後に制定された共和国憲法では、大統領の任期は1期につき5年、連続2期までと規定されていた。しかしカリモフは自分の思うがままに憲法を書き換え、「これまでの当選回数はリセットされた」という支離滅裂な独自解釈を適用。そして3選、4選を果たすことになる。

 独裁者としてそんな無茶苦茶な政治を断行してきたカリモフだが、経済面では2004年以降、7%以上のGDP成長率を記録している。ただ、これには裏があり、GDP成長率アップを目論んだカリモフは、国の主要産業である綿花の栽培と収穫のため、毎年数百万人規模で国民を強制動員。そこに200万人以上の子供が含まれていたため、多くの学校では毎年2カ月ほどの休校を余儀なくされた。

事件現場や病院を封鎖して目撃者とデモ参加者に圧力をかけた

 さらに2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、「テロとの戦い」を掲げたこの男が徹底して行ったのが、反体制派や独立系宗教指導者の弾圧だった。
 中でも2005年に勃発したアンディジャン事件は、ウズベキスタン現代史に残る最悪の惨劇だ。

 発端は東部の都市アンディジャンで、地元実業家23名がイスラム過激派組織に関与したとして拘束・起訴されたこと。その後、武装した集団が刑務所を襲撃、政治犯を含め約500人の受刑者を解放した。
 貧困や弾圧にあえぐ人々により、カリモフ退陣を求めるデモが起きると、カリモフはデモ鎮圧のために治安部隊を投入して無差別に発砲、子供を含む数百名の血が流された。

 この事件により、カリモフは欧米諸国やEUなどの国際社会から厳しい批判を受けたが、関係機関からの調査要求をすべて拒絶したばかりか、治安部隊が発砲した事実すらも平然と否定し続けた。
 さらには事件現場や病院を封鎖し、目撃者やデモ参加者に圧力をかけて、真実を闇へと葬り去ったのである。

 長きにわたって独裁政治を繰り広げたカリモフが脳出血のため、この世を去ったのは2016年9月。まさにやりたい放題の限りを尽くした独裁支配は、死をもってようやく終焉を迎えたのであった。

(山川敦司)

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