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記事全文を読む→え、M9.9のとんでもない地震!? 気象庁の「大誤報」を生んだ「過大推定」と「カムチャツカ半島で起きていたこと」
昼どきの日本列島に緊張が走った。10月16日午後0時40分頃、気象庁は北海道根室市から北東約750キロの千島列島付近を震源とするマグニチュード(M)9.9の巨大地震が発生したとして、緊急地震速報を流した。テレビに映し出されたM9.9の数字に、北海道や東北の人たちは生きた心地がしなかっただろう。
M9.9は人類が観測しうる地震最大値。これまでの観測史上最大の地震はM9.5、1960年に起きた南米チリ地震で、地震発生から22時間後の日本時間午前2時から6時の未明にかけて、北海道から沖縄までの太平洋沿岸に津波が押し寄せた。岩手県大船渡市では高さ6メートルを記録し、未明の津波に逃げ遅れた142人が死亡・行方不明となった。
今回、気象庁が一時推定したM9.9はこのチリ地震の約4倍、東日本大震災の約22倍のエネルギーに匹敵する。
しかも今回は地球の裏側ではなく、根室市からわずか750キロのもの。政府は北海道沖の千島海溝でM9.3規模の地震が発生した場合でも、根室市には2分後、釧路市には20分後、苫小牧市には40分後に最大約28メートル、岩手県宮古市には最大30メートルの津波が押し寄せ、10万人の死者が出ると想定している。
この緊急地震速報を受けて、JR東海では東海道新幹線の地震防災システムが作動。新横浜~豊橋間で送電が自動停止し、上下線で運転を見合わせた(午後0時55分に運転再開)。JR北海道、JR東日本管内では新幹線、在来線への影響は出ていない。都内では自衛隊機の飛行が確認できた。
そんなM9.9という「日本沈没フラグ」速報に備えたのに、いつまで経っても揺れない。
実際には午後0時38分頃、ロシアのカムチャツカ半島付近でM6.9の地震が発生していたが、日本国内で観測されたのは北海道函館市の震度1のみ。津波の心配はなく、気象庁は約8分後の午後0時48分に緊急地震速報を取り消した。
気象庁は同日午後2時からの会見で、気象庁への直接のサイバー攻撃は否定した上で、
「マグニチュードを過大に推定したためで、その原因を究明中」
と説明した。
地震計や観測データと情報処理システムが不正操作されたら…
過大推定したにしても、なぜこれほどまで極端な数値が算出されたのか。
気象庁は2016年8月1日にも、東京湾を震源とするM9.1の巨大地震が発生したと誤推定、緊急地震速報を配信したことがある。この時は千葉県内の地震観測点で発生した、電源設備の異常に伴うノイズが原因だった。
気象庁はサイバー攻撃を否定しているが、前述したチリ地震を機に整備された遠隔地震観測システムは、各地の地震計が捉えた振動を通信回線で集約し、コンピューターが震源や規模を自動推定する仕組みだ。気象庁のシステムが攻撃されずとも、地震計や観測データ、その情報処理システムが不正に操作されれば、誤った地震情報が生成される可能性は技術的に考えられる。
地震計は自然地震だけでなく、爆発や人工的な衝撃による振動も記録する。ロシアが千島列島やカムチャッカ半島周辺で破壊行為や軍事行動、原子力潜水艦でも爆発させたのか……。今回に限っては震源が約160キロと深いため、その可能性は低いのだが。
日本の地震観測システムが自然現象だけでなく、サイバー攻撃にも耐えられる仕組みになっているのか。今回の誤配信は、その信頼性を検証するきっかけとなりそうだ。
むしろ気象庁の誤配信より、民放テレビ局が東日本大震災、能登半島地震、熊本地震を経験してもなお「地震や津波からの退避を呼びかけず、バラエティー番組を放映し続けたことが大問題だろう。
なお、携帯電話のけたたましい警報音が鳴り響く緊急地震速報は、NTTドコモだけが沈黙したままだった。なぜ鳴らなかったのか、原因を調査中だという。
(那須優子)
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