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Posted on 2026年10月20日 07:15

中日・工藤公康新監督が名古屋で過ごした理不尽で壮絶すぎる少年時代「激しい暴力・血染めユニフォーム事件・怒りのドラフト会議」

2026年10月20日 07:15

 中日・工藤公康新監督の就任会見をめぐり、番記者との「不協和音」が懸念されている。きっかけは、中日番記者からのある質問だった。
「久しぶりに名古屋に住むということになると思います。何か楽しみはありますか」
 地元の中日ファン、中年層のプロ野球ファン、高校野球ファンはこの無神経な質問に凍りついたことだろう。工藤監督にとって名古屋はドジャース・大谷翔平以上の「漫画超え」、壮絶な少年時代を過ごした因縁の地だからだ。

 名古屋市天白区出身。両親は2歳の頃に離婚し、父親に引き取られた。就任会見で、
「子供の頃は野球が嫌いだった、憧れの選手はいなかった」
 と話した通り、工藤少年にとって野球は父親に強要された理不尽な「暴力の象徴」。過去のインタビューでは漫画「巨人の星」の星飛雄馬のような少年時代を送ったと語り、
「キャッチボールでミスをするたびに殴られた。父親に殴られないために、野球がうまくなりかった」
 と振り返っている。

 父親に殴られないため必死に練習した野球のおかげで人生が好転したのは、名古屋市立久方中学校3年の時だ。
 高校野球、大学野球、社会人野球の経験者で、愛知県内の強豪校指導者を知る用務員が久方中に赴任。工藤少年に注目した。工藤少年は経済的な理由により、中学を卒業したら高校には進学せず「丁稚奉公」に出るはずだったが、愛知県内の強豪校での合同練習を紹介された。
 そして現在の愛工大名電、当時の名古屋電気高校の中村豪監督の目に留まり、特待生扱い、入学金と授業料の免除で迎え入れることになる。

 このエピソードを自身のYouTube動画で詳しく語っているのが、元巨人の槙原寛己氏だ。かつて大府高校のエースとして工藤(名古屋電気)、浜田一夫(愛知高校)とともに「愛知三羽烏」と呼ばれたが、槙原氏が饒舌なのに対し、用務員への心からの感謝を述べつつも、工藤監督本人が多くを語らないところに複雑な心境がうかがえる。

 その槙原氏も偵察のために観戦していた1981年の愛知県大会5回戦「愛工大名電×東邦」(熱田球場)では、高校野球史に残る壮絶な「血染めのユニフォーム事件」が起きる。

 3回、顔面に死球を受けた工藤は、ユニフォームが真っ赤になるほど流血。意識を失い、医務室に搬送された。顔面が腫れ上がり、右目は塞がっている。医師からは右眼球を損傷、失明する危険があるとしてドクターストップがかかったが、工藤が負傷退場すると、名電は5回戦敗退が濃厚となる。工藤のキャリアが終わることを避けるために、中村監督は工藤に投げさせたと振り返っている。

意に反して西武入りが決まったことに抗議して家出

 工藤は審判から「流れる血をハンカチで拭いていい」という特別許可をもらい、右目からしたたる血を拭いながら完投。愛工大名電は愛知県大会で優勝し、全国大会2回戦で長崎西高校相手にノーヒットノーランを達成してベスト4に進出した。だが、また事件が起きる。

 工藤は甲子園での活躍で社会人野球の熊谷組への就職が決まったが、この年のドラフト会議で次期西武ライオンズ監督に決まっていた広岡達朗氏が、球団フロントに工藤獲得を指示。父親が勝手に西武との契約を決め、ドラフト6位の契約金6000万円でライオンズ入団が決まった。この契約金で、父親は自宅を建ててしまう。

 自分の意に反して西武入りが決まったことに抗議して3日間、家出した工藤少年に対し、この年に西武監督を退き、球団管理部長になった根本睦夫氏は「所沢の父親になる」ことを誓っている。工藤はプロ入り後、根本氏を父のように慕う一方、実父の葬儀には出ていない。

 工藤新監督が野球人生の晩年になって、不遇の少年時代を過ごした名古屋に戻ってくることが、どんなに重い意味を持つのか。
「名古屋に恩返しがしたい」と語った工藤監督を胴上げできず、フロントの事情でクビにするようなことがあれば、中日ファンの怒りと憎悪は選手とフロントに向けられることだろう。

(那須優子)

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