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記事全文を読む→令和の高校球児は知らない「熱闘“暴力”甲子園」を語ろう(2)舌打ちしたら鉄拳制裁
続けて、金村氏は精神的なシゴキのほうが耐えがたかったと明かす。
「地味に嫌だったのが、『坊主にしてこい!』っていう罰でしたね。だって、すでに僕ら坊主ですから(笑)。しかたないから風呂に入った時にT字のカミソリでさらに短くするんですけど、ニキビに引っかかって痛い痛い。頭が血まみれですよ。あと普通の練習や準備だけでも大変やのに、先輩のパシリみたいなこともさせられるんです。『パン買ってこい』とかね。一度、『ラーメンを作れ』って命令された時に、『そんなんするために野球部に入ったんちゃうわい』って思って、僕のションベンを入れてやりましたけどね」
理不尽な暴力が横行する最大の理由として、金村氏は「寮生活」を挙げる。ちなみに母校の報徳学園に野球部の寮はなく、金村氏は通学派だった。
「広陵もそうですけど、全寮制って規則もあるし、ずっと先輩もおるから息抜きできるタイミングがない。閉鎖された空間に、多感で元気な男の子たちを閉じ込めると、ああいった暴力行為に発展していくんだと思うし、何より視野が狭くなる。野球雑誌のアンケートで『尊敬する人物は?』という質問に部員全員が『監督』と回答していたりね。それだけで、どういう環境だったのか想像がつくじゃないですか。そこを変えないと、今回のような事案はなくならないでしょうね」
金村氏が指摘するように、寮生活を強いられ、“生き地獄”を味わったのが、関東強豪校OBのS氏だ(30代/06年卒)。ひどい仕打ちを受けた「奴隷生活」を振り返る。
「先輩と四六時中、一緒なのが本当につらかったですね。朝早くから練習して、片付けを終えて部屋に帰ったら夜8時か9時。それから、先輩のマッサージや話し相手をするので、深夜0時を過ぎてから眠るなんてことも多かったですよ。もちろん、次の日も朝練ですから、学校の授業中ぐらいしかちゃんと眠れない。だから、同室の先輩がケガをして入院してくれた時はうれしくてうれしくて(笑)」
S氏が最も恐怖を覚えたのは、同室の先輩から受けた“鉄拳制裁”だった。
「夜のマッサージを終えて、やっと眠れると思ったら、先輩が偉そうに『手入れしとけ』って、乱暴にグローブを放り投げてきたんです。思わず腹が立って舌打ちをしてしまったら、髪の毛を鷲掴みにされて、寮の廊下に引っ張り出されてね。もうめちゃくちゃですよ。殴られるし蹴られるしっていう。僕は身長が161センチしかないので、暴力を振るわれるたびに壁際に吹っ飛んで。他の部員たちも見ているはずなのに、みんな知らん顔で止めてくれなかったのも恐ろしかった‥‥」
寮内だけではない。グラウンドに出ても頻繁に辱はずかしめは続いた─。
「忘れられないのが、ベースランニングで一周した後に、何かおもしろいことを言わないといけないっていう嫌がらせもありました。卑ひ猥わいな言葉とか、モノマネとか、何でもいいから先輩が笑わなければ延々とベースを全力疾走ですから。僕も何周もさせられた後、無我夢中で『天皇陛下バンザイ!』と言ったら、何とかクリアできました」(S氏)
暴力や行きすぎたシゴキが公になればタダでは済まない。加害者の上級生もそれなりに周囲の目を気にしていたようだが、それがまた陰湿なイジメを呼び込んでいく。
「レギュラーになれない先輩は、ずっとイライラしてるんで暴力を振るう理由なんて何でもいいんです。練習時の動きが悪いとか、応援の声が小さいとか。その場で小突かれるのはまだマシで、みんながそろって室内練習場の倉庫に連れていかれると最悪なんです。ホウキの柄みたいな、木刀より少し細い木製の棒が置かれていて、説教をしながらそれで殴るんです。ちょっとでも棒を避けたりすると、さらに棒で叩かれるから、されるがまま。僕も頭に振り下ろされた時、とっさに手で防いだらおなかを思いっきり蹴り上げられて水ゲロを吐いたことがあります」(S氏)
広陵には高校野球の負の慣習が今も根づいていたというのか。
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