事件
Posted on 2025年12月10日 18:15

住吉会トップ逮捕の裏側で飛び交った「怪文書」を入手 「先代会長の自宅から5000万円窃盗」の深層とは…

2025年12月10日 18:15

「住吉会トップが逮捕されたって、まさか『あの件』か…」

 捜査当局が発表する前から暴力団の世界がザワつき始めた。12月6日、住吉会・小川修司会長が傘下幹部ら6名とともに千葉県警に逮捕されたのだ。住吉会は1都1道14県に構成員約2100人を抱える巨大ヤクザ組織。六代目山口組に次ぐ全国で2番目の勢力を持つ組織トップが逮捕されたのだから、裏社会界隈の人々が騒ぐのも無理はない。

 だが、「あの件」と言っていたように、その筋の人々の間では、この逮捕をどこか予期していたフシがある。県警によると、小川会長らは2022年5月31日から6月1日にかけて、住吉会の先代会長にあたる関功代表(故人)の千葉県柏市内の自宅に侵入。現金5000万円を盗んだといいう邸宅侵入と窃盗の疑いが持たれている。

 関代表は21年に住吉会トップの座を小川会長に禅譲しただけでなく、みずから率いた共和一家の跡目も小川会長に託すなど、強い信頼関係で結ばれていた。よりによって、県警が犯行日時とする22年5月31日は関代表が亡くなった当日だ。いったい、なぜ斯界の方々は予期していたのか。この疑問に組織関係者が答える。

「今から2年前、23年に怪文書がバラ撒かれたんだ。内容は今回の逮捕容疑を告発するもの。すると、今度は『下町有志一同』と称する差出人が、先に出た怪文書の真相を暴くという体裁で反論する怪文書が出た。いわば、紙爆弾が炸裂していた。我々の業界でも、この手の怪文書騒動は少なからず起きる。とはいえ、警察が動いたのは異例ではないか」

 我が取材班も一連の怪文書を入手。他にも被害者側が差し出したとされる内容証明の文書なども拡散しており、改めて怪文書の応酬の激しさを認識できた。

 とはいえ、怪文書は虚実を入れ混ぜることで読む人の興味を引き、誰かを貶める意図をもってバラ撒かれる。そのため、全容を記すことは避けるが、概略を知らなければ今回の事件の深層には踏み入ることはできないだろう。

 最初に出回ったのは「三大広域暴力団九代目住吉会代表の裏切りと犯罪」と題され怪文書だった まさに、今回の事件を思わせる内容だった。小川会長らが関代表の死の直後、自宅金庫にある5000万円は「組織の資金だ」として、配下に「持ってくるように命じた」と書かれている。その資金は、関代表が「生前に関係者の女性に贈与した」もので、いわば個人の遺産を奪ったと訴えている。

 これに反論する怪文書が続いてバラ撒かれている。こちらはタイトルこそついていないが、5000万円を受け取った女性の素性を伝える内容となっていた。本名や住所まで書き添えられ、関代表と近しい関係を利用して、いかにしたたかな人間であるかを告発していた。

 もちろん、いずれの内容も真実とは断言できない。だが、今回の事件を想起させる内容であった。社会部記者が解説する。

「千葉県警は逮捕した7人が共謀のうえ盗んだとしており、小川会長を指示役と見ています。この点は最初の怪文書と似通っている。また、報道では被害者は『関代表の自宅を管理していた女性』となっていますが、この点も2つめの怪文書が指す女性との共通点が多い。まして、関代表の遺産を巡っては、特殊詐欺の被害者への賠償責任を逃れるために贈与したとして、関代表は死後に書類送検された。遺産は当局の監視対象でした。怪文書をきっかけに両者間のトラブルが表沙汰となり、そこを県警が見逃さなかったということです」

 警察に被害者女性が被害届を提出したのが23年8月のことで、逮捕まで2年以上の年月を要している。小川会長らは被害女性に対し、2000万円で被害届を降ろさせようとした証人威迫の疑いもあるとはいえ、窃盗事件にしては捜査に時間がかかりすぎているようにも思えるが…。

「警察も二の足を踏んだのでしょうね。怪文書にあるように、資金は誰のものなのかということがトラブルの発端なら、民事事件であり、なかなか犯罪を立証するのは難しくなってくるわけですから。一方で、どんな事件であっても組織トップを逮捕するのは警察にしてみれば大手柄。実際、関代表が住吉会会長として君臨していた時、地元の同窓会に参加して費用を全額負担したことがありました。その時、千葉県議選を前に、同窓生に某候補者の支援者がいて、その候補者を連れてきてしまった。たった十数人の同窓会で1人4000円ほどの金額でしたが、関代表は公職選挙法違反(供応接待、事前運動)に問われ、有罪判決を受けました。この捜査を指揮した警察幹部は大出世したそうです。組織トップは常に警察にマークされ、一挙手一投足が監視されている。小川会長も、その洗礼を受けたのでしょう。しかも、窃盗はヤクザの価値観では、恥ずべき犯罪。そこまで警察は理解して小川会長を逮捕したとしか思えない」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 県警は小川会長らの認否を明らかにしていない。はたして、この逮捕劇は起訴されることになるのか…。

(アサヒ芸能編集部)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/12/9発売
    ■530円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク