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記事全文を読む→「2022年の奇跡」阪神・矢野燿大監督がすがった「即興文字師」がドン底の中日ドランゴンズへ「売り込み」
2022年4月、阪神タイガースは地獄にいた。開幕から1勝15敗1分。早くも一部ファンがシーズン終戦を覚悟していた時期に、ある男が甲子園の控室に呼ばれた。平仮名で漢字を表現する創作文字作家として知られ、岐阜県多治見市観光大使も務める杉浦誠司氏。365枚の木札から漢字を1枚引かせ、その場で即興のメッセージを書き下ろす「おみくじ」で、全国各地の企業や学校の講演に引く手あまたの人物だ。
球団から正式オファーを受けた杉浦氏は、当時の矢野燿大監督をはじめ、コーチや選手、2軍メンバー、通訳らに色紙を書いた。書き終えると矢野監督が「阪神タイガースにも1枚、書いてもらえませんか」と追加を依頼した。
監督代表で引いた木札は「波」。杉浦氏が約3分で書き上げたメッセージはこうだ。
「引きて満ちる潮 波が起きるのは 浮いて良し 沈んでよし その波に選手皆が乗り 楽しみ出したら 流れに乗れる これから起こるビッグウェーブ」
選手たちは「ビッグウェーブ!」と歓声を上げ、控室の空気は一変したという。そして実際に連勝が始まった。色紙が登場した4月15日以降の成績は、67勝56敗4分。あの1勝15敗1分が嘘のようにチームは駆け上がり、一時は最大16あった借金を完済。最終的に3位になった。
井上一樹監督は「狂龍」としたためたけど…
その杉浦氏が4月15日、自身のYouTubeチャンネルで、この一件の舞台裏を明かした。球団側はこのイベントが表に出ることを嫌がり、杉浦氏にオフレコを依頼し、杉浦氏も「自分からは絶対に言わない」と約束した。
ところが試合に勝った矢野監督は、インタビューでファンへの感謝を述べた後、おもむろに色紙を取り出すと、
「今日、文字職人の杉浦さんが来てくれてね」
とテレビ放送でしゃべってしまった。球団が止めていたのに、監督自らバラしたのだ。
動画の終盤で杉浦氏は、
「地元の人から阪神に流れたか、地元を捨てたのか、と言われるんですけど、そういうわけではない」
そう否定した上で、
「ドラゴンズさん、お待ちしております」
ニヤリと笑っているのだ。
今季の中日は開幕からズルズルと負けが込み、4月17日の試合前の時点で4勝12敗。2022年の阪神と重なって見える展開だ。井上一樹監督は今年1月、竜の勝利に酔いしれるフィーバーを予感して「狂龍」の二文字をしたためた。その「狂龍」がまだ牙を剥けずにいる今、杉浦氏の一筆が加わったとしたら…。中日でも奇跡が起きるかもしれない。
(ケン高田)
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