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Posted on 2026年10月03日 18:01

時代劇評論家・ペリー荻野のテッパン推し!「観ずに死ねるかッ!時代劇スーパーBEST10+1」(2)50~60年代この4作を押さえよ

2026年10月03日 18:01

◆劇場映画編

「七人の侍」

 言わずと知れた黒澤明作品である。舞台は戦国末期。野伏せり(=野武士)の襲撃に怯おびえる山間の村人は、侍を雇って真っ向から戦うことを決意する。集まったのは、歴戦の知将でリーダー格の島田勘兵衛(志村喬)、五郎兵衛(稲葉義男)、久蔵(宮口精二)、平八(千秋実)、七郎次(加東大介)、勝四郎(木村功)。そこに野生丸出しの菊千代(三船敏郎)も加わって、決戦に備えることになる。

 平八が作った旗に、百姓を表す「た」の文字と六つの「〇」とひとつの「△」があり、その△は菊千代だと彼らは笑いあう。死と隣り合わせの中で、不思議なユーモアや人間味があふれるのだ。

 それだけに終盤、豪雨の中の激戦では手に汗握る展開に。当時としては斬新な複数のカメラを同時に回すマルチカムを実行したり、雨をしっかりと映すために墨汁を混ぜた水を降らせたりと、斬新な演出の数々。「黒澤明の強烈な叙事詩」と謳われた本作は、世界に誇る傑作だ。

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「十三人の刺客」

 弘化元年(1844)、老中・土井大炊頭(丹波哲郎)は、御目付役・島田新左衛門(片岡千恵蔵)に悪行を繰り返す明石藩主・松平斉韶(菅貫太郎)の暗殺を命じた。新左衛門は協力者を集め、砦とりでのごとく改造した落合宿に明石藩の参勤交代の行列を追い込む作戦をたてる。斉韶側には、新左衛門もよく知る凄腕用人・鬼頭半兵衛(内田良平)がいた。

 本作は映画が斜陽のころに製作された。当初は無名俳優による低予算作品の予定だったが、池上金男(池宮彰一郎)の脚本の出来の良さを知った千恵蔵が出演を申し出たことで、生き方を迷う若侍に里見浩太朗、個性的な剣豪に西村晃、温厚な老武士に嵐寛寿郎など、味のある顔ぶれが揃うことになった。

 荒涼とした宿場の砂埃、馬を包む朝もや、狭い道で繰り広げられる死にもの狂いの戦いを演出した工藤栄一監督の手腕が冴える。ラストシーンには、壮絶な戦争体験をした脚本家の思いも投影されている。

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「忠臣蔵」

 100本を超える映画・ドラマが製作された、時代劇の定番中の定番。中でも本作は、大看板・長谷川一夫が大石内蔵助を、市川雷蔵が浅野内匠頭を演じた大映オールスター揃い踏みの作品だ。松の廊下での内匠頭による吉良上野介への刃傷沙汰、そして庭先での切腹、苦難の中での吉良邸討ち入り‥‥名場面は多いが、本作で四十七士の赤垣源蔵を演じた勝新太郎が印象深い。

 討ち入り直前、源蔵は兄の屋敷を訪ねたが、兄は留守。兄嫁に酔っ払いの弟と疎まれていた源蔵は、兄の羽織を相手に一人、感謝の心を独白するのだ。愛嬌者の下女に「どこか旅へでも?」と聞かれると「西の方」、「いつお帰りに?」「盆くらいに」と応える源蔵。勝の明るさが兄弟の別れを際立たせ、泣かせる。

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「幕末太陽傳」

 幕末の品川宿。遊女屋「相模屋」でド派手に遊んだ文無しの佐平次(フランキー堺)は、居残りで店の雑用を任されると、遊女の使いや客あしらい、座興まで何をやらせても上出来で、売れっ妓こはる(南田洋子)の部屋に入り浸る高杉晋作(石原裕次郎)からカタまでとりつけた。そんな中、高杉たちの英国公使館焼打ち計画が─。

 監督は川島雄三。落語「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」の要素や実在の人物も入れ込み、幕末の人間模様をテンポよく描いた喜劇になっている。「ダンナ、お侍にしとくにゃ惜しいね~」と佐平次にはにかんだように笑う高杉。フランキーと若き日活スター裕次郎のやりとりは見ものだ。そして、調子のいい「いのさん」こと佐平次には、「女は禁物!」と逃げ出すワケがあり‥‥ラストも沁みます。

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◆プラス1編

「家電侍」

 締めの1作は「えッ!? こんな時代劇あり??」と驚愕必至のユニークな作品をあげたい。

 ある時、貧乏な浪人・兼梨四十郎(滝藤賢一)は、参拝した神社で稲光とともに現れた謎の光る板状の物品を発見する。それはタブレット端末で、欲しいものはないかと問いかけられた四十郎は「はて面妖な!?」と驚きつつも、「妻が長屋のかまどで飯炊きに苦労している」とつぶやく。すると、そこへ最新の「炊飯器」が到着する。早速、長屋で試し、その出来に感動する四十郎。

 その後は家族のため、自転車型充電器を必死にこぎまくって、家電への充電を続ける。掃除ロボットの働きに「神のなせる技!!」と喜び、「カメ吉」と名前までつけて愛用。調子に乗って洗濯乾燥機、電子レンジ、防犯カメラまで導入する四十郎の一家に幸せは訪れるのか? 今年公開の映画「八つ墓村」での怪演とは対照的な、滝藤の“顔芸”が面白い。

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 ─嗚呼、いずれも観ずには死ねないッ!

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