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記事全文を読む→〈本郷和人VSペリー荻野〉NHK大河「豊臣兄弟!」を10倍以上面白く見る方法!(1)秀長が主役!「そうくるか」
「豊臣兄弟!」の初回放送は確かに面白かった。戦国の世を舞台に繰り広げられる、何者でもなかった兄弟による成長物語。前作超えの視聴率13.5%もうなずけるところだ。この先の展開を10倍、いや10倍以上面白く見るためのツボを、歴史学と時代劇研究の第一人者であるおふたりに大いに語っていただく。
ペリー いよいよ始まりました新・大河ドラマ「豊臣兄弟!」。ただ、長年、大河ドラマを見ている私たちも、秀長が主役と聞いて、そんなに有名じゃないし、「え?」でしたが、先生はどんな感想でしたか?
本郷 「そうくるか」「うまいな」と思った。作りとしては大河の前作「べらぼう」が扱う時代もキャラクターも挑戦的、試験的な作品だったでしょ。でも、信長・秀吉・家康、この3人はテッパンじゃないですか。みんなが知ってる。だけど、幾度も大河ドラマに出てきてるから、正面からは主人公にしにくい。じゃあどうする? っていう話で、弟なら戦国を描ける。
ペリー 気になるのは、秀長の人物像です。過去の大河では、橋田壽賀子さんが脚本を担当した81年の「おんな太閤記」で中村雅俊さんが演じているんですが、この秀長は、息を引き取る時に秀吉(西田敏行)に「他国への侵略をしてはいけない、朝鮮出兵をやめるように」と必死に訴えるんです。作家の反戦の意向が反映された人物像でした。
本郷 秀長の人柄、理念、政策がどういうものだったかは正直わからないです。ただ、今の会社に置き換えて考えてみれば、世襲の社長の一番のライバルは弟なんですよ。戦国大名は弟を殺している家が多い。そんな中、秀吉は弟と最後までともに頑張った。その点でも秀長を主役にしたのはうまいと思った。
ペリー この兄弟はどうしてうまくいったんですか?
本郷 僕は秀長が補佐役に徹したことが大きかったと思います。余計なことを言わなかった。だから「朝鮮出兵やめろ」って死ぬ前なら言うかもしれないけど、ずっと言わなかったはずです。僕のイメージだと、秀吉って専制君主、独裁者なんですよ。判断するのは秀吉だけ。その権限を犯すようなやつがいると、肉親だろうとアウトなんです。
ペリー 秀吉は世間的には人たらしの愛嬌者というイメージですけど、その独裁の顔も秀吉が元から持ってた性格なんでしょうか?
本郷 秀吉って実際には冷たい人で、あの人たらしの面っていうのは、作った人格じゃないかなと僕は思っています。立身するためには、周りの人間を巻き込まないと上がっていけないじゃないですか。だからニコニコしてた。それを横でずっと見てきた秀長は、兄のやってることを理解しながら、自分の立ち位置をちゃんと踏まえていた。すごく賢い人なんじゃないかな。
ペリー 秀長こそ秀吉の恐ろしさをいちばんよく知っていた‥‥。
本郷 僕の考える秀吉像の一番の基本は、大河ドラマ「黄金の日日」(78年)の緒形拳なんですよ。最初、若い頃は自由な貿易を志す商人の呂宋助左衛門(六代目市川染五郎・二代目松本白鸚)なんかと友達みたいな感じで付き合っていたのが、どんどんどんおっかない支配者になっていく。あの感じが、僕は秀吉の本質だと思ってるので。
ペリー 緒形拳の秀吉は、千利休(鶴田浩二)に切腹を命じ、捕縛した根津甚八演じる石川五右衛門を釜茹でで処刑、自身は豪華な寝室で孤独な死を迎えます。
本郷 かなり長いシーンで最期を見せましたよね。
本郷和人(ほんごう・かずと)/1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。専門は日本中世政治史。NHK大河ドラマ「平清盛」などの時代考証にも携わる。近刊に「豊臣の兄弟秀吉にとって秀長とは何か」。
ペリー荻野(ぺりー・おぎの)/1962年、愛知県生まれ。コラムニスト、時代劇研究家。時代劇主題歌オムニバス「ちょんまげ天国」をプロデュース。著書に「テレビの荒野を歩いた人たち」など。
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