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記事全文を読む→映像ディレクター・佐々木敦規の「お台場ハチャメチャ青春記」〈第6回〉(3)あえてハプニングを誘う策
「BAN!BAN!」にはいくつもの仕掛けがあった。
1つはサポート役の料理人。超一流を並べた。
「日本和食界のトップの村田吉弘さん、料理本を大ヒットさせた栗原はるみさん、イタリア料理の名店、『アルポルト』の片岡護さん、中華は金萬福さんと周富輝さんという巨匠ばかりです。その人たちを前に、井森がフライパンに生きたエビを放り込んで『ギャー!』と叫び、郁恵さんも一緒にアタフタするわけです(笑)」
料理に手慣れた榊原がアタフタするのには理由があった。料理番組の“お約束”を「BAN!BAN!」はあえてやらなかったのだ。
「料理番組は短い尺に収めるために、通常は『鍋に入れて煮ます。はい、こちらが5分間煮たものです』とあらかじめ用意した“差し替え”をしますが、『BAN!BAN!』は“差し替え一切なし”をルールにしました。番組Pのアイデアです。25分の番組はCMを抜くと正味17分、料理時間は15分。これを生放送のようにノーカットで収録するので、『15分以内で完成させること』が必須になります。この制限時間が、いろんなハプニングを誘発していくわけですよ(笑)」
メニューには角煮やパエリアなど、「とても15分では作れそうもないもの」をあえて入れた。
「料理の先生方は『さすがにキツいよ』と言いつつも15分で完成できるように角煮風、パエリア風といった素敵なレシピを考えてくれました。5分間煮ている間に副菜を作ったり、今でいう“時短料理”の先駆けでしたね(笑)」
各回のテーマにも知恵を絞った。
「平日夕方の番組だから、主婦が食いつきそうなテーマを用意しました。和食、中華、イタリアン、家庭料理に『500円で作れる』や『電子レンジだけ』といった課題を設けて挑戦しました。料理名も『ちょっと洒落っ気を出そう』とPに言われて『(イタリア風)グラッチェ・チキンカツ』とか『クセになるっテバ(手羽)!』とか(笑)」
限られた時間内で完成させるために、大根をおろしたり、すり鉢でゴマをすったりなどの力仕事は、榊原が「いもちゃん!」と指示し、井森が手早く取りかかる。その間に榊原がメイン料理の準備を進めるといった、2人の息の合ったコンビネーションも次第に出来上がっていった。
「『お料理がんばるゾ!』で料理に悪戦苦闘していた郁恵さんが『BAN!BAN!』ではその座を井森に渡したんです。『私は上手になって頼れるほうがいいでしょう』と。井森は普段からまったく料理しないから(笑)、全力でトライしては失敗する。水溶き片栗粉を入れすぎて、粘土みたいなあんかけが出来上がったり。エビを揚げて、試食した村田先生が一口食べて吐き出して『これ生だよ』と(苦笑)。火加減を間違えたり、調味料を入れ忘れて試食したら『味がない』とか(笑)。井森は自由に適当にキャーキャーやってるし、郁恵さんは時間内に収めなきゃいけないから慌てだすし。ギリギリで料理が完成して、2人の疲労困憊の表情を映して番組が終わったり(笑)。従来の料理番組とは違う『おもしろい料理バラエティー』を作っている手応えはありましたね」
佐々木敦規(ささき・あつのり)1967年生まれ。演出家・映像ディレクター。フィルムデザインワークス取締役。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」「IPPON GP」などのバラエティー、K-1やプロレスなど格闘技番組の演出を経て、ももクロのステージ演出を手掛ける。
取材・構成/茂田浩司(ライター&編集者)
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