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記事全文を読む→【ちょっとおかしな市議・区議たち】兵庫県明石市の成功例を再現する!元保育士が起こす「日本一」の波
Xへの〈市議はおいしい仕事〉投稿で知られることになった地方市議、それが宮代翔太だ。
もともと保育士として、また専門学校の教員としてサラリーマン生活を送っていた頃と比べ、埼玉県の加須市議になると、圧倒的に待遇がよくなった。その現状を本人が次のように明かすのだ。
「まずは仕事の時間が自由になったことです。保育士や学校教員として働いていた頃は毎日、午前8時30分から午後5時30分まで勤務の上に、残業もけっこうありました。専門教員をやっていた当時、長男が生まれたのですが、その子が寝ている間に仕事に出て、寝た後に帰ってくるのが日常でしたね。今は年間50日ほど開かれる議会への出席が求められるだけで、残りの300日は何をやるのも自由。時間をうまく使えば、子育てをする時間もたっぷり取れます。」
議会における一般質問の準備のための調査、打ち合わせ、市民への報告として報告会の開催や、動画やブログの配信などなど、もちろん日々の仕事はたくさんある。が、それをいっさいやらず、ただ議会に出席しているだけでも、基本的に免職されることはないのだ。
「それでいて、収入は大きくアップしました。以前なら、手取りで月二十数万円、ボーナスを含めても450万円いかないくらい。市議になってからは手取りで550万円以上です。それで議会での一般質問をしなかったら、こんなにラクな仕事はありません」
もっとも、彼が市議になりたいと考えたのは、その待遇のよさが理由ではない。ぬるま湯のルールの上で問題を起こす政治家への不信。あるいは保育の現場で抱いた、不十分な支援への疑問からだった。国を支えるためには非常に大事なものであるはずの子育てが軽視され、保育士の給与は低く、人手不足がひどい。現場で対処する以前に、ルールそのものを変えていかねばならない。ならば政治を変えるために、市議選に出るべし…と。
職場に近く、結婚した妻の実家にも近い埼玉県加須市に住んでいた。そして「子育て支援の充実」を掲げ、ほぼワンイシューで立候補を決意した。加須市が「日本一こどもを産み育てやすいまち」を目指す中で、子育て政策に注力した理由は明確だった。
当時、兵庫県明石市の泉房穂市長が実施した「五つの無料化」──保育所や学校給食の無償化など──が大きな成果を上げており、加須市でも同様の施策を進めるべきと考えたからだ。その具体的な成功事例をもとに、加須市での実現を目指したのである。
自分の意志と反する意見に、党の方針だからと賛成するのはイヤ。だから政党には属さない。そうなると選挙運動の仕方を教えてくれる人がいないので、近くの自治体の若い無所属議員にコンタクトをとって、手ほどきをお願いした。後援会はあった方がいい、と作り方を指南してもらったり。
そうして迎えた2023年4月の選挙戦では、予想とは違う、意外な反応があったという。
「当然、私が訴えるターゲットは、主に子育て世代だったわけです。当然、その人たちが共感してくれると思っていました、ところが選挙期間中の平日に回ると、高年齢層の方々が『若い子にもっと投資しなきゃダメだよね』と、私の話をうなずいて聞いてくれる」
選挙戦はとにかくひとりでも多くの人に声をかけ、自分の政策を伝える作戦に徹した。加須市の当選ボーダーは1000票前後。まずは1000人の市民に知ってもらうよう努めた。結果は931票で、定員25人の23位当選。無所属の新人としては大健闘だった。
議員になって変わったことといえば、
「例えば市の職員を含め、関係者の皆さんに必要以上に丁寧に対応していただけるようになったのと、市の行事などに来賓で呼ばれるようになったことですかね。『あ、これでテングになってふんぞり返るような人も出てくるのかな』と少し感じました」
そうならないよう肝に銘じつつ、「日本一こどもを産み育てやすいまち」を現実のものとするため、動き出している。目指すのは単なる制度の提案ではなく、実際に機能する子育て支援の仕組みを作り上げることだ。
「国の動きは遅すぎるし、合理的な判断ができていないと強く感じます。自治体の方がもっと自由に動けるし、明石市がそのいい例でしょう。だからこそ、その波を加須市でも起こしていく。すると近隣の市も競争のように動き出し、全国へと広がっていく。そうした動きが国のニーズとして認識されれば、国が下支えをするようになる。そんな流れを作りたいんです」
市議を「おいしい仕事」としてではなく、「楽しくてやりがいのある仕事」として取り組もうとしている姿勢が、この言葉から伝わってくるのだった。
(山中伊知郎/コラムニスト)
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