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Posted on 2025年07月19日 05:56

二宮清純の「“平成・令和”スポーツ名勝負」〈“銀河系軍団”を追い詰めた男たち〉

2025年07月19日 05:56

「レアル·マドリード VS 鹿島アントラーズ」FIFAクラブワールドカップ決勝・2016年12月18日

 サッカーJ1の鹿島アントラーズは、オリジナル10(Jリーグ発足時に加盟した10クラブ)の中で、横浜F・マリノスとともにJ2降格経験のない、自他ともに認める強豪クラブだ。

 J1優勝回数8回、天皇杯優勝5回、Jリーグカップ優勝6回。Jリーグ発足以降、国内三大タイトルでの優勝回数は、どれもJクラブ最多だ。

 アントラーズの源流を遡ろう。前身である住友金属工業蹴球団は、JSL(日本サッカーリーグ)2部に所属する弱小クラブで、プロリーグ参加申請に対し、初代Jリーグチェアマンの川淵三郎は「住金のプロ参加を認めることは99.9%ない」と断言した。 他方で、「屋根の付いた1万5000人収容のサッカースタジアムをつくるなら話は別だ」とも。

 川淵としては引導を渡したつもりだったが、この物語には第2幕があった。

 住金は茨城県に要請し、スタジアム建設の約束を取り付けたのだ。しかも、ブラジルからスーパースターのジーコを呼ぶという。かくしてヒョウタンから駒が出たのである。

 こうして誕生したアントラーズが、クラブ世界一に、あと一歩と迫ったのがFIFAクラブワールドカップ2016の決勝だ。

 相手は“銀河系軍団”の異名をとる欧州王者のレアル・マドリード。ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウド、スペイン代表主将セルヒオ・ラモス、クロアチア代表司令塔ルカ・モドリッチらスーパースター揃いで、公式戦36試合無敗でこの日を迎えた。

 12月18日、日産スタジアム。前半9分、レアルはカリム・ベンゼマのゴールで先制。レアルの圧勝かと思われた。

 だが、ここからアントラーズが開催国の意地を見せる。44分、土居聖真が左サイドを突破し、クロス。これを受けた柴崎岳が左足でネットを揺らした。1対1。

 勢いに乗るアントラーズは後半7分、またしても柴崎が千両役者ぶりを発揮した。敵陣中央で相手DF2人を振り切り、左足でミドルシュート。コスタリカ代表GKケイラー・ナバスの右手をかすめ、ゴールネットに突き刺さった。2対1。

 横浜で何かが起きようとしていた。

 だが、好事魔多し。13分、山本脩斗がルーカス・バスケスを倒し、レアルにPKを与えた。これをロナウドが難なく決めた。 アントラーズには不利な判定もあった。44分、自陣右サイドで金崎夢生がラモスに背後から足をかけられた。2枚目のカードとなれば、ラモスは退場だ。審判はカードを出しかけて引っ込めたように見えた。

 2対2のまま延長戦へ。地力に勝るレアルは、ロナウドが針の穴をも通すようなゴールを2つ決め、4対2で勝利した。「レアルに真っ向勝負を挑み、苦しめるところまでいった。選手たちは120分間、勇気を持って戦った」とは石井正忠監督。

 大善戦の立役者が2ゴールを挙げた柴崎なら、黒衣は粘り強い守備でレアルの攻撃の芽を摘み続けた24歳の昌子源だった。

 とりわけベンゼマに対するマークは見事だった。ある時はゴール前、胸でトラップした瞬間を狙ってボールをカットし、またある時は体を寄せてフリーでのシュートを阻止してみせた。

 あれから9年、今年のクラブW杯王者には4000万ドル(約58億円)の賞金が与えられる。

二宮清純(にのみや・せいじゅん)1960年、愛媛県生まれ。フリーのスポーツジャーナリストとしてオリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシングなど国内外で幅広い取材活動を展開。最新刊に「森喜朗 スポーツ独白録」

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