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Posted on 2026年01月18日 10:01

〈告白②元騎手・宮下瞳調教師〉通算1382勝のレジェンドが挑む第二の人生「女性騎手を育てられる厩舎を作っていきたい」/2026年「午年競馬」に酔いしれよう!

2026年01月18日 10:01

 名古屋競馬に所属し、地方競馬通算1382勝という前人未到の金字塔を打ち立てた宮下瞳氏(48)が25年12月、新人調教師として第二の競馬人生をスタートさせた。国内女性騎手の歴代最多記録を塗り替え続けたレジェンドが、現役時代の思い出から新たなステージで描く夢を語り尽くす。

─25年間にわたる騎手生活、お疲れさまでした。引退後1カ月近く経ちましたが、改めて現役時代を振り返って、どうでしたか。

 本当に周りの方々に恵まれましたね。毎日楽しく仕事をさせてもらえましたし、すばらしい騎手人生だったと思います。24年春の「黄綬褒章」の受章にしても、私だけでは成しえなかったことですから。競馬に携わる多くの方々のご努力のたまもので、感謝の気持ちでいっぱいです。

─11年8月、1度は騎手免許を返納されました。

 出産もあってムチを置いたわけですが、子供から「ママが(馬に)乗っているところを見たい」と言われて復帰を決意しました。ただ、3年以上もブランクがあったので、乗馬クラブで落馬するなど大変でしたね(笑)。それでも、名古屋競馬の関係者の方々や家族など、多くの人にサポートしていただいて。16年8月に復帰してからも、ファンの皆さんから声援をいただきながら騎手を続けられて、改めてよかったなと思います。

─苦しかったことは?

 95年10月にデビューしたんですけど、なかなかレースに乗せてもらえなかった頃はつらかったです。初勝利こそデビュー3日目(ショウワミラクル)に挙げられましたけど、当時は名古屋競馬に60人ぐらい騎手が所属していたので、いつも鞍の掃除ばかり(笑)。たとえハナ差で負けても乗り替わりなんてことも多々あって、まさに一戦一戦が戦いの日々でした。

─思い出深いレースは?

 09年8月に韓国の釜山で開催された「第1回KRA国際女性騎手招待競走」で優勝したことですね。結果を残せたからこそ、たぶん、その後の短期免許の交付もしていただけたんだと思います。結局、09年10月から約1年半、韓国で乗せていただいて(56勝)、GⅠレースにも出場できました。騎手としてのターニングポイントの1つだったと思います。

─調教師を目指したきっかけは?

 2年ほど前、長男(当時11歳)が「騎手になりたい」と打ち明けてくれて。その時から一緒にレースで乗ることが夢になったんですけど、昨年4月に前十字靱帯を痛めてしまったんです。今の体では100%の騎乗ができないし、調教師になって長男のサポートをしようという夢に変わりました。実は昨秋の園遊会に呼んでいただいた時、天皇陛下から「お子様も騎手を目指しているのですか」と聞かれたので「はい」と答えると、「応援してあげてくださいね」とのお言葉をいただいていたんです。

─調教師試験は一発合格でした。

 死ぬほど勉強しましたからね(笑)。食事と寝る時以外は、ずっとです。子供にも主人(小山信行厩務員/元騎手)にも助けてもらいました。

─どのような調教師像を描いていますか?

 調教師としても人生の先輩としても、とても勉強させていただいた師匠の宇都英樹調教師のようになりたいですね。先生は騎手時代(通算2181勝)からとても真摯で、常に一生懸命取り組まれているんです。

─理想の厩舎は?

 宇都先生を見習って、まずは人が集まるような明るい厩舎を作って、名古屋競馬を盛り上げられるような強い馬づくりをしていきたいと思っています。そのためには、仕事が楽しくできる環境を作って、女性の厩務員も採用したいと思っています。騎手ともフレンドリーな関係を築いて、何でもしっかりと言い合えるようにしていきたいですね。

─調教師になってから約1カ月が経ちますが、順調ですか?

 今は主人と二人三脚で厩舎開業に向けて準備をしています。もらった10馬房の整備にしても、主人から「ゆっくりでいいだろう」と言われ、12月はトレーナーとして研修の日々。船橋競馬の川島正一調教師の下で厩務員の方から話を聞いたり、そこでお会いした浦和競馬の入口由美子調教師や平山真希調教師にご挨拶をさせていただきました。今後は女性調教師(現役では地方8人、中央1人)との交流をもっと深めていきたいと思っています。

─弟子を取る可能性はありますか?

 女性騎手を育ててみたいなと思っています。厩舎が落ち着いてからになりますけど、女性騎手だった自分だからこそ伝えられることもあると思いますし、産休制度についても一緒に考えていければと思います。やはり、騎手免許を継続したまま産休を取り、また復帰できる環境が理想だと思っています。

─昨年は、ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」が話題を呼んだ一方、9月9日にはハルウララ(113戦0勝)の訃報もありました。

 子供がキタサンブラック(日高生産馬)のファンで、ドラマは楽しく観ていましたよ。ハルウララも地方競馬だからこそ、未勝利馬の諦めない姿に声援が送られ、日本中から献花が届いていましたよね。つくづく競馬っていいなと思いました。

宮下瞳(みやした・ひとみ)1977年5月生まれ。95年10月に名古屋競馬場でデビュー。11年8月、出産を機に騎手免許を返納し、16年8月に再取得。21年11月、地方競馬通算1000勝を達成。24年に黄綬褒章を受章。同年、14回目のNARグランプリ優秀女性騎手賞を受賞。女性騎手として国内最多となる通算1382勝を挙げ、25年11月30日に引退。12月1日から調教師に転身。

写真/「愛知県競馬組合」提供

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