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記事全文を読む→12球団唯一「バント完全ゼロ」のヤクルト・池山隆寛監督が語った「好きな作戦ではない」は2027年セDH制への序章
ここに異例の数字がある。
2026年シーズン開幕から3カードを終えた時点で、首位に立つヤクルトの犠打数は0。セ・リーグはおろか、DH制で投手が打席に立たないパ・リーグを含めた12球団でただ1チームだけ、送りバントを記録していない。
広島が13犠打でリーグ最多。2番に座る中村奨成は打率1割0分7厘と絶不調だが、犠打6は12球団トップだ。打てない代わりにバントでつなぐ姿は、良くも悪くも「1点をもぎ取る野球」の象徴だろう。2位・阪神も9犠打を数える。そんな中、ヤクルトだけが完全なる「ゼロ」を貫いているのだ。
象徴的だったのは4月3日、中日戦の3回裏だ。7番・伊藤琉偉がヒットで出塁して無死一塁。次打者は8番の投手・吉村貢司郎。セオリーならバントを命じる場面だが、ベンチから出たサインは「打て」。そして吉村は空振り三振に倒れた。それでも池山隆寛監督の表情は変わらなかった。
この男にとって、バントは「好きな作戦ではない」。就任後の雑誌インタビューでこう明かしている。
「野村さんは常に1-0で勝ちたいと考える監督だったけど、そのあたりは僕は真逆。打ち勝つ野球が理想だね」
恩師・野村克也の薫陶を受けながら、真っ向から別の道を行く。開幕5連勝を飾った翌日にも「基本的には打ち勝ちたい。そこからスタートしている」と語った。貴重なアウトをひとつたりとも相手にくれてやる気はない、という宣言である。
「野球がどんどん変わっていく」ので…
チームOPSはセ・リーグ首位の.712。開幕5連勝は球団の新人監督記録を更新した。かつて池山・広沢・古田のクリーンナップに胸躍らせた世代なら、この「打ってナンボ」のニオイに鼻が反応するだろう。
2027年から正式導入が決まった、セ・リーグのDH制。どうやら池山監督はこれを見据えて、バントを多用しない攻撃的な発想で戦おうとしているようである。なにしろ監督自身が「野球がどんどん変わっていく」と語っているのだ。
三振かホームランか。「ブンブン丸」として神宮球場を沸かせた男が、監督としてもフルスイングで既成概念を叩き壊しにかかっている。天国の名将は苦笑いかもしれないが、神宮のスタンドはアツくなっている。この男の「ゼロ」がどこまで続くのか、実に興味深いのである。
(ケン高田)
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