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Posted on 2026年10月08日 11:15

中日ドラゴンズ「工藤公康監督」誕生を成功させた「27年前の失敗と教訓」「脱・生え抜き至上主義」

2026年10月08日 11:15

 中日の来季監督に、工藤公康氏が就任する。多くの候補の名前が出た監督人事で工藤氏を動かしたのは、中日フロント陣の「一本釣り」であることが大きかった。

 中日は工藤氏の現役時代に一度、フラれている。1999年にFA移籍を模索した際には、巨人と中日が激しい争奪戦を繰り広げた。決め手となったのが、巨人の指揮を執っていた長嶋茂雄氏による工藤氏の自宅へのアポ無し訪問だったことは有名な話だ。
 工藤氏の子供たちは「セコムのおじさんだ!」と大喜び。長嶋氏からの「男の花道を飾ってほしい」という口説き文句に「お世話になります」という返答しかありえなかった。

 中日は一度フラれた教訓を、しっかり生かしたわけだ。その際、残留を願うファンから15万人分の署名が寄せられたが、
「全員に直筆で手紙を出したのは本当の話です。最後の1枚まで7年かかってやっています」(工藤氏をよく知る球界関係者)

 2014年の監督就任の際も、ソフトバンク・王貞治球団会長が動いての一本釣りと直談判によるもの。「ON」が揃って、チームが勝つために「ぜひ欲しい」と強烈なプッシュをした人物は工藤氏以外、球界には見当たらない。

 ソフトバンク監督を退任した2021年頃から、長男で俳優の工藤阿須加が山梨県北杜市で始めた農業を手伝っていた。
「他球団の監督オファーがあったのは間違いありません。それでも断り続けていたのは、ソフトバンクへの恩義があったから」(前出・球界関係者)

非常時には「外様監督」にチーム再建を託してきた

 退任後はその農業に加え、ソフトバンク監督時代に「休学」という選択肢をとった筑波大学大学院の博士課程に進み、「投球動作」を科学的に学んでいた。無職の身とはいえ、「農業」と「大学院」という二刀流を貫き、「充電」という立場をとっていたのだ。

 名古屋生まれということもあり、中日監督就任の機は熟していた。親会社(中日新聞)の意向で監督は生え抜き至上主義、という空気は根強くあった。元監督の落合博満氏、谷繁元信氏は他球団に在籍していたが、現役時代は中日のユニフォームに袖を通している。

 とはいえ球団の歴史を紐解くと、非常時には「外様監督」にチーム再建を託してきた。今回の工藤氏の就任は1984年の山内一弘監督以来、42年ぶりの完全な外様監督誕生になる。

 ドラフト戦略やコーチ人事などは全て、フロント主導で行われる。ソフトバンク監督時代に7年間で5度の日本一、加えて親会社の永遠のライバル紙でもある読売新聞をバックにする巨人相手に、2年連続4連勝で圧倒した実績もあり、どうしても欲しい監督だった。来季、中日が生まれ変わることは間違いない。

(小田龍司)

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