社会

石川県地震 日本海で終わらない「スーパー南海地震」の前兆

 6月19日の午後3時5分頃、石川県能登地方で震度6弱の地震が発生。翌20日にも同地方で震度5強を観測した。今、日本海側を中心として不気味な揺れに見舞われているが、実は日本列島全土を見据えて備えなければならない事態だという。

 石川での地震に際し、気象庁の鎌谷紀子地震津波監視課長は「揺れの強かった地域では今後、1週間程度、最大で震度6弱程度の揺れを起こす地震に注意してほしい」と呼びかけているが、1週間程度の注意で済む話ではないようなのだ。

 立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授が解説する。

「現在、北陸にストレスがかっているのは、太平洋プレートが東から西側に移動しているから。それによって関東から北海道につながる北米プレートを東から西に押しているんです。その北米プレートの西の端がユーラシアプレートと正面衝突している。そういう力がなくならない限り地震は続くわけです」

 そして、多くの犠牲者を出した2011年3月11日の東日本大震災について、まだ終わった話ではないと指摘するのだ。

「例えば1896年に東北地方で『明治三陸地震』が起きたのですが、これが『とりあえず終了』とようやく判断されたのは1933年に発生したアウターライズ型地震(海溝の海側で発生する地震)である『昭和三陸地震』なんです。この地震では、太平洋プレートが移動してくる中で、先端と後ろでは速度が違っていたためプレートがちぎれたんですよ」(高橋特任教授)

 マグニチュード8.3から8.5くらいのアウターライズ型地震が発生して、ようやく一段落するという。高橋特任教授が続ける。

「2011年から11年が経ち、早ければそろそろアウターライズ型地震が来そうな頃合いなんです。アウターライズ型地震が来ると、太平洋プレートからの圧力がちょっと弱まります」

 それをもって初めて大震災が終わりを告げるということか。今回の地震を受け、日本海側だけの危機として捉えるべきではないのだ。

「能登の地震について、マスコミは『地下水の影響があったのでは』と盛んに報じていますが、それは非常に局地的な話。能登半島の『先っちょだけの話』なんです。日本で地震が起きるのは様々なスケールの力が加わっている。重要なのは『日本列島全体の歪み』ということなんです」

 そう語る高橋特任教授が危惧するのは、関東から沖縄にかけて想定される「スーパー南海地震」だ。震度階級は東日本大震災と同等レベルの大規模なものだという。

「東京から神奈川、静岡、名古屋、大阪で津波が起きると津波で亡くなる方だけで、少なく見積もっても47万人。中でも名古屋や大阪は東京と違って低い立地に住んでいる方が多い。甚大な被害が出ることが想定されます」

“日本壊滅”は経済面でも計り知れない被害が予想される事態に。

「スーパー南海地震が来ると、新幹線や高速道路があちらこちらで倒壊して流通がストップしてしまう。名古屋港では津波が押し寄せ貿易もできなくなるでしょう。こうなると日本経済を支える自動車産業への影響も甚大。自動車は日本経済の根幹ですからね。途端に日本が世界の最貧国となる未来も想像しておくべきことです」(高橋特任教授)

 日本全土に大地震への備えが求められている。

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