社会

運転手不足が業界を襲う「2024年問題」で路線バス消滅の非常事態

 運転手不足によって日本各地で路線バスの運休や減便が相次いでいる。千葉の小湊鐵道バスは4月1日から運休と減便を実施。大阪府富田林市の金剛自動車は12月21日で路線バスの全路線を廃止すると発表した。どちらも理由を「乗務員不足」であるとしている。

 なぜ運転手が不足しているのか。現役のバス運転手は理由をこう明かした。

「拘束時間が長いにもかかわらず、賃金が低いバス業界を若者は敬遠しています。その一方でベテランの運転手は次々と定年退職している。バスの運転手になれる『大型二種免許』を持っている人はどんどん減っています」

 運転手不足は続くどころか、より悪化すると予想されている。日本バス協会の調べによると、2030年度には3万6000人もの運転手が不足するという。

 すぐそこにある危機が「2024年問題」だ。「働き方改革関連法」が24年4月1日に適用され、運転業務に従事する人の拘束時間が3380時間から3300時間に短縮される。さらに退勤から次の出勤までの時間が8時間から、「11時間を基本とし、9時間を下回ってはならない」に変更される。

 運転手一人当たりの業務時間が減ることになり、現状の運行状況を維持するのは困難となって、減便や運休が増える可能性は高い。現にいくつかの路線バス会社はダイヤ改正を行い、減便して最終バスの時間を早めている。

 バス会社はこうした危機に手をこまねいているわけではない。大型二種免許の取得費用を補助したり、大規模な会社説明会を行うなど若手ドライバーの確保に力を注いでいる。しかし、

「労働時間が長いのに低賃金という体質は変わっていない。急に運転手を目指す人が増えるとは思えず、乗務員不足で路線バス事業をやめる会社も出てくるのではないか」(前出・現役バス運転手)

 金剛自動車が廃止する路線は近鉄バスと南海バスがコミュニティーバスとして運行することが決まり、地域住民の足がなくなることは防げた。しかし、今後廃止される路線が必ずしも救済されるとは限らない。運転免許を返納した上に路線バスがなくなったことで、病院に行くこともままならない高齢者が出てこなければいいのだが。

(海野久泰)

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