気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。
めまいは「目の前の景色がぐるぐる回るように感じる」「体がふわふわした感覚になる」「クラッとする」「目の前が暗くなる」など体の平衡感覚に異変を感じる症状全般を指すわけだが、その原因で最も多いのが内耳の障害だ。
体の平衡感覚をつかさどる器官が内耳にある「前庭」と呼ばれる部分で、ここに異常があるとめまいが起こる。
起床時や立ち上がった際に突然クラッとする時は「良性発作性頭位めまい症」の可能性が高い。たいてい数秒〜数十秒で自然に治まるが、何度も繰り返すケースもある。
めまいを感じたら、少し横になるなど、できるだけ体を休ませ、深呼吸をしてリラックスすることが必要だ。良性発作性のものや季節性が原因の場合は、これで治まるケースが多い。規則正しい生活リズムや食生活の見直し、趣味などストレス解消ができる行動や適度な運動も対策として取り入れたい。
また、「メニエール病」の可能性もある。この病気は、めまいに加え、耳鳴りや難聴といった症状が伴い、ストレスや睡眠不足によって引き起こされることがある。
ただ、めまいは、脳梗塞や脳出血など脳の病気が原因のケースもあるので注意が必要だ。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳細胞に十分な血液が届かず酸素の量などが不足することでめまいを発症する。激しい頭痛や手足のしびれを伴うことも多いため、症状を発症したらすぐに医療機関を受診してほしい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。