歯に衣着せぬ発言でプロ野球界に愛のムチを振るい続ける江本氏が話題の新刊「昭和な野球がオモロい! 」を携えて、甘ったれた令和のプロ野球をメッタ斬り!? 辛口評論家と知られるエモやんが「神様」と崇拝するスーパースターとは? その名に天才テリーも大納得!
テリー 新刊の「昭和な野球がオモロい!」読ませていただきましたよ。
江本 ありがとうございます。
テリー どうして今、こういう本を出そうと思ったんですか。
江本 これはね、もう40年ぐらい前に今回と同じ日之出出版から本を出したんですよ。そこの社長さんが40年ぶりにそれを思い出してくれたみたいで。だから、当時と今の野球をいろいろと比較しながらね。ずいぶん変わったところもあるし、変わらないところもあるだろうと。
テリー 何が変わったんですか。
江本 体力はね、なくなったんじゃないですか、今のほうが。だって9回投げないじゃないですか。みんな5回ぐらい投げるのが偉いように思ってるけど、ダメでしょうって。
テリー 「5回でノルマ達成」とか言いますよね。
江本 昔だったら「5回ぐらいでバカじゃねえか」って言われますよ。今は「今日、ゲーム作りました」なんて自慢げにヒーローインタビュー受けてますけど。
テリー 昔に比べると今ってピッチャーに有利じゃないですか。僕、巨人ファンなんで、去年のCSを見てたんですけど、「何でこんなに打てないんだ?」って。
江本 それは短期戦になってるからですよ。ピッチャーが1回しか投げないでしょう。残り7、8、9回を3人で投げる。1回150キロで投げたら、それは抑えられますよ。
テリー ということはストライクゾーンをもっと狭くするとか、バッターに有利なルールを作らないと。
江本 ああ、それはいい発想ですね。僕らの時はストライクゾーンが人間の頭ぐらいですから。それはあんまりひどいって言うんで、ここ10年20年ぐらいで、ルール通りの広いストライクゾーンになった。だから、そこに目いっぱい投げていけばいいんで。
テリー 昔はそういうわけにはいかなかった。
江本 僕らの時のストライクゾーンは微妙な点でしかないから、それだと打たれるんですよ。今は適当なところへとりあえず150キロで投げておけば、バッターもそう急には打てないので。だから今度言っておきますよ。「ストライクゾーン狭めろ」って。
テリー 僕ね、バッティングマシーンが出てきた時に「将来的には絶対バッターが有利になっていくんだな」と思ったんですよ。ピッチングマシーンはないから投げる練習は自分でやるしかないわけでしょう。だから、この本にも書かれてますけど、最近ホームランバッターが全然いないですよね。
江本 ここ数年そうですね。もっとひどいのは、年間通しても3割が1人か2人ぐらいしかいなくなった。
テリー ねぇ。
江本 それはね、いろんな理由があって、本にも書きましたけど、アメリカさんの言うことをすぐ真似するから、自分の体に合わないことをやったりするわけですよ。例えば「フライボール革命」だとか言って、できるだけ飛距離を出すためにバットの上に当てればいいなんてのもね。だから、そういうのが影響してるんじゃないですかね。
テリー なるほど。
江本 本来、日本人は技術。速い球をファールして、だんだんピッチャーを追い込んでいくとかね。そうやって相手を攻めていく打者が多かったんですけど、今は1番から9番まで全員一緒ですからね。それは打てないですよ。
ゲスト:江本孟紀(えもと・たけのり)1947年、高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組を経て、1971年、「東映フライヤーズ」(現・日本ハム)入団。同年、南海ホークス(現・ソフトバンク)移籍。1976年、「阪神タイガース」に移籍し、1981年、現役引退。1992年、スポーツ平和党より比例代表で出馬し、参議院議員初当選。2期12年を務めた。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。YouTubeチャンネル「エモやんの、人生ふらーりツマミグイ」配信中。主な著書に「プロ野球を10倍楽しく見る方法」(ベストセラーズ)、「おれ、紆球曲球」(日之出出版)、「監督原辰徳研究」(徳間書店)など。最新刊「昭和な野球がオモロい! 」(マガジンハウス/日之出出版)発売中。