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長嶋茂雄「幻の自家栽培ミスターレモン」があった!(3)丸坊主で「学生時代に戻った」

 飲食店の他にも、現役時代から50年以上通っていたのは、東京・大田区にある理髪店「文化理髪室」だ。

 1956年にJR渋谷駅近くにあった「東急文化会館」(現ヒカリエ)内で開業し、入団2〜3年目の時から、大田区に移転しても変わらずに足を運ぶ常連客だった。

 店長の𠮷田博さん(78)と、長嶋の担当を務めた弟の明さん(75)が当時の思い出を振り返る。

「月3回くらいのペースで訪れ、お気に入りはシャンプーの時間。通常は5〜10分のところ、長嶋さんだけは常に15分以上は洗髪していました。かゆいところがあると自分で頭を動かし、うまく誘導してくれるんです。シャンプーのみでの来店もありました」(博さん)

 現役時代はスポーツ刈り、監督時代はオールバックがお決まりのスタイル。しかし、98年7月に巨人のガルベスが審判員にボールを投げつける暴挙に出て、無期限の出場停止処分を受けた時はいささか様子が違った。

「珍しくキャップを被って来店し、けじめをつけるための丸坊主は3ミリと5ミリのどちらがいいか相談されました。『俺が止めてやれなかった』と悔やんでいましたが、さっぱりした5㍉の頭を見て、『学生時代に戻ったな』といつもの笑顔を見せたんです」(明さん)

 いつもリラックスできる憩いの場でもあった文化理髪室だが、愛弟子・松井秀喜氏の米大リーグ挑戦時も表情を曇らせた。明さんによれば、

「長嶋さんは強く残留を勧めていましたが、この時ばかりは松井氏の意志が固かったようで、『今の若い者はあんなものなのか』と、怒りをにじませたような口調で嘆いていました」

 04年に脳梗塞で倒れてからも、リハビリを兼ねて散髪に訪れた。2階にある店内の階段を上がってくる時に「1、2、1、2」と、元気な掛け声を出していた光景を2人は懐かしむ。

「普段から個室ではなく、一般のお客さんと同じ場所で髪を切り、写真を求められれば快く応じていた。帰る時は決まって『また来るよ〜』と一声掛けてくれるダンディな姿が見られないと思うと寂しい」(博さん)

 球場外でも残したスーパースターの伝説は、レモンのように甘酸っぱい思い出が尽きない街で、これからも語り継がれるだろう。

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