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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~東大出身の首相が消えたのは世襲政治家の増殖と東大生が「外資系コンサル」を目指すから~
先般、早稲田大学のOBが集う社交倶楽部で講演した。講演冒頭、場の雰囲気を和ませようと、誇り高い稲門会の方々に、僭越ながら申し上げた。
「早稲田は好きな学校です。姉の旦那も早稲田OBです。産経新聞の阿比留瑠偉記者をはじめ、立派なジャーナリストを数多く輩出していることは百も承知しています。でもせっかくの機会なので、はっきり言わせてください。史上最低の外務大臣を出したのは、早稲田なんですよ(笑)。皆様はご存じないでしょうが、外務省OBの間では史上最低の外務次官も早稲田が出したと受け止められています。ご安心ください。史上最低の首相を輩出しているのは、ライバルの慶應大学です(爆笑)」
さすがは懐が深い早大OBだ。反発したり嫌な表情を浮かべることなどなく、笑いと爆笑で応じてくださった。
だが講演の帰途、よくよく考えてみて、もっと深刻なことに思いが至った。我が母校、東京大学の惨状だ。
考えてみれば、東大出身の首相は、絶えて出ていない。検索すると、東大は19人と、歴史上最も多くの首相を輩出してきた。2位の早稲田の8人を大きく引き離している。
だが、近年で最後の東大出身首相は鳩山由紀夫。その後、東大が出なくなったのもムベなるかなと頷く読者は多いことだろう。
要の法学部出身者に至っては、最後の首相は宮澤喜一。なんと30余年前の話だ。
なんでこんなことになるのか。
アメリカの大統領で大宗を占めるのは、ハーバード大かエール大の出身者だ。イギリスの首相は大方、オックスフォード卒かケンブリッジ卒だ。オーストラリアではシドニー大かメルボルン大だろう。いずこの国でも、最高学府とされる大学の出身者が国政の最高指導者となることは常態である。
日本の場合で指摘しておくべき特殊要因は、世襲政治家の多さだろう。その大半は私学出身。なにもガムシャラに勉強に専心して栄達の道を究めようとしなくても、地盤、看板、カバンが用意されている者が選挙に強いという独特の事情がある。
昭和の昔には東大卒で大蔵省、通産省、自治省など主要官庁出身の政治家が幅を利かせたが、小沢一郎氏をはじめとして「竹下派の7奉行」と称される政治家が政界を牛耳るようになった頃から、早稲田卒や慶應卒の世襲政治家が増えていった感がある。
そうしたトレンドはその後に加速し、早慶以外の大学出身者にも首相への門戸が開かれてきた。多様な層から人材が政界に集められるのであれば、それに越したことはない。
事実、国民の圧倒的な支持を博し、レガシーを残した(得る)近年の総理大臣を見れば、安倍晋三氏にせよ高市早苗氏にせよ、上記の鋳型には嵌っていないことが指摘できる。
だが、その一方で気になるのは、東大で学ぶような優秀な学生に、天下国家を論じる、あるいはそれに携わることに対する意欲と気概が薄れてしまっているのではないか、という問題だ。
数年前に東大大学院で講義をした際、担当教授に尋ねたら、今の東大で優秀な学生は霞が関の官庁でなく、外資系のコンサルタント会社を目指すと教えられた。かつてはなかったことだ。
日本で最高とされる教育を受けてきた人間が、学んだ成果を国家に還元するのではなく、私企業、なかんずく外資ビジネスに投入されてしまう。むろん、民間企業がビジネスを通じて雇用、所得増、経済成長、福利厚生の向上に貢献しうることは百も承知の上だ。だが、それだけでは寂しいことこの上ないではないか。
受験生時代から朝日新聞の天声人語などを読まされ、憲法の授業で「自衛隊は違憲の疑い濃厚」などと聞かされ、社稷(しゃしょく)を思う気持ちが養われないのだろうか。それとも、アメリカ式にエリートたる者が公益ではなく私益、自らが得る給与・待遇を優先する風潮が蔓延してきたのだろうか。あるいは、世間の「官」に対するリスペクトが失われたからだろうか。
おそらく原因は、これら全ての複合によるものだろう。国家として深刻である。
日本が未曽有の国難に直面している時代だからこそ、東大で学ぶような能力を持った人間には、国家に奉仕する道を選んでほしいと切に願う。
また世襲政治家には、持って生まれた恵まれた環境を最大限に生かし、例えば若い頃から海外事情や英語に習熟し、外国人相手に位負けせず、政策をめぐる議論を丁々発止で交わせるようになる。あるいは勉学だけでなく、芸術やスポーツの道を究める。こうした成長を期してほしい。
野球部出身と喧伝しながら東京ドームの始球式で万座の観衆を前に披露したのは女子投げで、山なりの球しか投げられない。トランプを怖がるばかりで英語で挨拶も交わせない。そんなことでは、国政を託した日本国民が浮かばれないからだ。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年に外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年に茨城県警本部警務部長を経て、09年に在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年に国際情報統括官、経済局長を歴任。20年に駐豪大使に就任し、23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」「高市外交の正念場」(いずれも徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)、「拝米という病」(ワック)などがある。
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