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Posted on 2026年04月19日 18:02

井上尚弥VS中谷潤人“5.2世界スーパーバンタム級タイトルマッチ”「無敗対決」の衝撃結末!(3)筆者は見た井上“ガチスパー”

2026年04月19日 18:02

 今回の井上VS中谷を占う上で重要な試合がある。

 昨年11月24日、WBC世界バンタム級王座決定戦、井上拓真VS那須川天心である。過去に2度世界王座に就いた拓真の3度目の返り咲きか、キックやMMA、ボクシングでプロ54連勝中の天心か。

 下馬評は五分だったが「拓真は絶対に勝てる」と太鼓判を押し、大橋会長に「拓真に天心とやらせてほしい」と直談判、実現させたのが兄の尚弥だった。

 拓真は「天心の無敗を止める」と闘志を燃やし、試合まで尚弥と同じ猛練習をこなした。父の真吾トレーナーが「拓真は成長した」と認めて満を持しての天心戦。序盤こそ天心のスピードと距離の遠さに戸惑い、被弾したものの、第3Rから戦術を変えて前に出て、距離を詰めて右のショートパンチをヒットさせる。天心の反撃は丁寧なディフェンスでかわして被弾せず、試合の主導権を握った。

 細かくパンチを当てる拓真に対し、持ち前の自由な攻撃が当たらない天心は失速。判定3-0で拓真が勝利、天心はプロ55戦目で初めての黒星を喫した。

 当初、真吾トレーナーは天心戦に乗り気ではなかったが、尚弥の「勝てるから」という言葉で井上家は一致団結。尚弥には「拓真の経験と技術なら天心に勝てる」という的確な読みがあり、その期待に拓真が応えたのだ。恐るべし井上尚弥の「分析力」。

 さて5月2日の東京ドーム決戦、無敗の日本人対決はどんな結末が待つのか。

 井上尚弥にとって中谷潤人は「最も相性の悪い相手」と筆者は見る。中谷は身長172センチで井上より7センチほど高い。井上に直接取材して思ったのは「映像で見るより小柄で細身」だった。

 井上は顔が小さく身体がビルドアップされているため、写真ではデカく見えるが、中谷と並ぶとひと回り小さい。バンタム級時代は強打で相手を吹っ飛ばし、短期KO決着を量産したが、階級を上げてスーパーバンタム級になると対戦相手は軒並み井上より大きく分厚い。ルイス・ネリとラモン・カルデナスに先制のダウンを奪われたのも「体格差」が理由と見る。井上もパワーアップしたが対戦相手の体格に吸収されて、バンタム級時代は簡単に奪えたダウンがなかなか奪えなくなっているのだ。

 中谷は長いリーチを生かした遠目からの攻撃に加えて、接近すると器用に腕を畳んで打つショートアッパーも得意だ。西田凌佑戦では頭からゴツゴツ当たり、クリンチで腕を抱えてキャンバスに叩きつける「ラフファイト」で西田を続行不能に追い込んでいる。中谷はサウスポーで懐が深く、井上は「パンチが届きにくい」と感じるはずだ。接近したら中谷にクリンチされて動きを止められれば、スピードを生かした強打が封じられる可能性もある。

 ただし井上には「試合で見せていない引き出し」がある。昨年9月のムロジョン・アフマダリエフ戦で井上は「倒しにいかないボクシング」を披露。持ち前のスピードと防御技術で相手の強打を空転させ、的確なパンチでポイントを重ねて大差の判定勝利を収めた。

 筆者は井上のガチ練習を見ている。報道陣向けの公開練習ではなく、偶然に少人数だけに見せた“ガチスパー”で、井上はアフマダリエフ戦で見せた「被弾せずポイントを取る」や体でぶつかり相手の体勢を崩すなど、試合で見せたことのない戦法を試していた。

 最新のインタビューで井上は「『無敗で終わる』にこだわりたい」と言い切った(ユーチューブ・ニューズピックス)。井上は中谷を倒した後、予定通り5階級制覇へフェザー級に上げると思う。

 6年前、バンタム級時代の井上が筆者に語った言葉を思い出す。

「目標は5階級制覇です。世界でもそんなにいないので。でも階級を上げると相手も大きくなるのでここから2つ(スーパーバンタムとフェザー)は簡単にはいかないと思ってます」

 数年前から「自分よりも大きな相手」をどう倒すかを、井上は繰り返しシミュレーションしてきたはず。

 カリスマ・井上尚弥が無敗を守るのか、それとも5歳下の中谷潤人が井上に初黒星を付けるか─。5.2決戦は近い。

茂田浩司(しげた・こうじ)/日本総研、「東京ウォーカー」を経て格闘技ライター。「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」等書籍編集や、美輪明宏、石破茂、岡田武史などの取材も手掛けた。

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