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記事全文を読む→トランプ「新アメリカ領」宣言VSイラン徹底抗戦…まだまだ鎮静化しないホルムズ海峡「原油通過バトル」
アメリカとイランの戦闘終結に向けた交渉は、双方が「覚書」を交わしてからも、もつれたままだ。そんな折、トランプ大統領がSNSに、ホルムズ海峡の地図の上に「新たなアメリカ領」と書かれたものを投稿し、波紋を広げている。
世界の原油とLNG(液化天然ガス)の2割が通過する、エネルギー大動脈のホルムズ海峡。この海峡通過を左右する主導権を一時、イランが武力で握ったため、世界のエネルギーが高騰。同時にアメリカのエネルギー価格高騰も誘発してトランプ人気は下降し、秋の中間選挙へ翳りが見えた。
焦ったトランプ大統領はイランに譲歩を重ね、作成されたのが核の廃止、イラン復興資金48兆円などの「覚書」だ。しかしそれでも、肝心のホルムズ海峡をめぐる解釈が曖昧だった。
そうした状況下での「新たなアメリカ領」投稿。アメリカとイランは覚書後、双方ともこれを遵守していないと批判し、1カ月が経過後も攻撃の応酬が続いた。イラン側はクウェートの発電施設などを攻撃し、アメリカ中央軍はイラン革命防衛隊が使用していたとされるオマーン湾沿岸の監視塔やレーダーなどを、徹底して破壊している。
その結果、何が起きたか。
アメリカのイランレーダー破壊活動と強固な警護により、ホルムズ海峡のオマーン側はほぼイランの攻撃を受けることなく、通過が可能になりつつあるという。
世界最大級のアメリカ金融関連情報通信「ブルームバーグ」が配信した記事によれば、ペルシャ湾で湾岸諸国の原油を積み込んだ大量のシャトル船が位置追跡装置の電源を切り、ホルムズ海峡のオマーン寄り海域を通過。オマーン湾に待機する各国の大型タンカーに原油を積み替え、輸出しているという。
さらには米ニュースサイト「アクシオス」などによれば、一日あたりの石油の輸送量は、戦闘開始前の半分にあたる約1000万バレルにまで回復したという。こちらはシャトル船ではなく、毎晩15~20隻のタンカーがホルムズ海峡のオマーン沿岸の南側航路を通って、ペルシャ湾で原油の積み込みをしている、と報道されている。
1日あたり100億円規模の経費がかかる
あるいは世界最大のニュースチャンネル「CNN」も、こう断定的に報じている。
「海軍を動員して海峡をパトロールするアメリカが優位に立つ一方、イランは支配の大部分を失いつつある。調査会社ケプラー社によると、過去2週間にホルムズ海峡を通過した船舶の8割以上が、オマーン側を通過している」
トランプ大統領が余裕で「アメリカ領」と、半ばブラックジョークめいた投稿をした理由がここにある。
ではこれで、世界の原油は安定するのか。ホルムズ海峡とイラン情勢は今後、どうなるのか。
確かにアメリカがオマーン湾で影響力を行使している限りは、アメリカの庇護のもと、原油タンカー、シャトル船で中東原油は当面、少しずつ回復するかもしれない。だが、防衛省関係者は言うのだ。
「ホルムズ海峡の対イラン警備に、米軍はミサイル駆逐艦、100機超の航空機、約1万5000人の兵士を投入している。艦艇運用費、人件費、燃料、補給などを含めれば、1日あたり100億円規模のカネがかかるといわれます。これをアメリカが永遠に続けるのは不可能。日本を含めた関係国がコストを払うのか、あるいはイランとの交渉で安全航行ルールやコストを決めるのか、などの選択を迫られます。不透明な情勢は続いているのです」
アメリカはイランに対し、新たな経済制裁を課す方向だが、イラン革命防衛隊は「経済テロ」として徹底抗戦、湾岸諸国へのさらなる攻撃を示唆している。
イラン情勢の鎮静化までの道のりはまだまだ険しい。トランプ大統領は「新アメリカ領」と余裕をかましている場合ではないのだ。
(田村建光)
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