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記事全文を読む→年間8億円荒稼ぎの「ボッタクリ帝王」が明かしたワル手口(1)「善意の第三者を装うんだ」
「3000円ポッキリ」と言われ、ついていったら30万円請求された。そんなボッタクリ事件が渦巻く歌舞伎町で、20年にわたり最大のグループを率いていた帝王を直撃! 驚くばかりのワル手口を包み隠さず語り尽くした。
「すいません。中間チェックお願いしたいんですが‥‥」
機嫌よく女性と飲んでいたスキンヘッドの客に、店員が声をかけた。
「パパ~、お会計だって‥‥」
連れの女性が促す。テーブルの上には空のワインボトルが3本とおつまみが散乱していた。
「18万」と書かれた地獄の請求書を見たとたん、スキンヘッドはいきなりテーブルを蹴倒し、ほえた。
「何だ、この料金は!」
テーブルが倒れ、ビンの割れる音が響く。スキンヘッドはさらに暴れまくる。
すると、この事態を予測していたかのように従業員たちが一斉に飛び出してきた。皆、腕っぷしの強い屈強な男たちばかりだ。3人はスキンヘッドの前に立ち、1人はソファに上がって丸イスを持ち上げ、振り下ろそうと構える。
新宿・歌舞伎町、コマ劇場(現・東宝ビル=ゴジラビル)前の「Hビル」8階にある「V」でのワンシーンだ。同店は影野臣直(かげのとみなお)氏が率いていた、当時最大のボッタクリ「Kグループ」の本店だった。
スキンヘッドに同行して入店してきた女性こそ、Kグループの“女帝”アヤカである。他の店で居合わせた客として知り合い、“終電がなくなった”と、うまいことやってこの店に連れてきたのだ。スキンヘッドは酒癖が悪そうで、前の店でも周りを気にせず傍若無人のふるまいだったという。
影野氏が言う。
「暴れそうな客、暴れてる客は突き飛ばしてでも座らせるのが、ボッタクリバーのセオリー。あとで警察に駆け込まれても、暴行でなく、暴れる客を制圧したと言えば通用するからな」
取り囲まれ押さえられて、スキンヘッドは観念した態度を示した。従業員たちも、取り押さえていた力を抜き、振りかざしたイスを下ろした。ところが、その瞬間を待っていたかのように、スキンヘッドは正面のボーイを突き飛ばしたのである。そして倒れたボーイの顔に蹴りを入れ、全力で駆け出し店外に脱出した。
「逃げた客を抑えるため、歌舞伎町のボッタクリバーには、各店舗ごとに必ずシキテン(見張り人)が置かれ、客が逃げ出さないようにテンを切っている(見張りをしている)んだ」(影野氏)
この時、影野氏はテンギリ(こっそり見張る)車に乗っていた。店から連絡を受けて車から出たところに、スキンヘッドが走ってきた。
影野氏は横をすり抜けようとするスキンヘッドに強烈な足払いを食らわせ、転倒した上に飛び乗ると、持っていた傘を眉間に突きつけてすごんだ。
「おい! 盗人野郎! 何をしたんだ」
そこに3人の従業員が追いついた。
「こら~、飲み逃げ野郎」
「人に蹴り入れやがって。治療費払ってもらうぞ」
「ケガさせたうえに店まで壊しやがって。治療費、修理代、弁償しろよ」
集まってきたやじ馬に助けを求めるスキンヘッドの声を打ち消すように、従業員たちは罵声を浴びせる。同時に3人は、影野氏に礼を言うのだ。
「茶番と思われるだろうけど、俺は通りがかりの善意の第三者を装う。相手を大声で非難するのはこちらの正当性を周囲にアピールし、警察への通報をさせないため。どこで誰が見てるかわからないからな」(影野氏)
笹川伸雄(ジャーナリスト)
アサ芸チョイス
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