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記事全文を読む→秋津壽男“どっち?”の健康学「アレルギーを防ぐにはマスクよりもワセリン 意外と知らない花粉症の基礎知識~その1~」
3月になると、マスク姿の人が増える季節です。読者の方々にも花粉症に悩まされている人は多いのではないでしょうか? 花粉症の罹患率は今後、増えることはあっても減ることはないと言われています。
かつては「アレルギーは加齢に伴って症状が軽くなる」と言われたものですが、実際には、発症する年齢も下は生後半年から上は90歳まで報告されています。
私たちの幼少期には、花粉症などという病名は聞いたことがありませんでした。しかし江戸時代の文献にも、花粉症と似た症状が描かれています。杉並木で有名な日光では「日光病み」という風土病があり、それがどうやら現在のスギ花粉症だったのではないか、と指摘する専門家もいます。
ではここにきて、花粉症の患者が劇的に増えた理由は何なのでしょうか?
その理由は大別すると3つあげられます。
【1】土に代わってアスファルトが増えた
【2】社会全体が清潔になりすぎて人間の免疫機能が過剰に反応するようになった
【3】国策で杉の木を数多く植えたためスギ花粉の絶対量が増えた
いずれの理由も決め手には欠けますが、それなりに妥当な要因と言えます。
【1】については、目に見えない小さな粒子である花粉は、舗装をしていない地面に堆積し飛散することはありません。しかし、アスファルトでは風で舞い上がり拡散します。そもそも杉の木が少ない東京で花粉症が多いのは、信州などから飛んできた花粉が、アスファルトに付着せずに、地表を漂っているからだと言われています。つまり日本の都会は、世界でも稀有な花粉飛散地帯と言えるのです。
【2】についても戦後の公衆衛生がよくなったことに加え、社会が「清潔になりすぎた」ことも花粉症が増えた一因です。ほんの10年前まで、除菌、抗菌という言葉にはなじみがありませんでした。ところが最近では世の中が「バイキン恐怖症」になっています。こうした風潮が花粉症患者の増加に拍車をかけています。
昨今の除菌ブームは、かつてのような寄生虫による感染症を減らしてくれましたが、一方で花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患が増えたという研究データもあります。最近では「ピロリ菌(ヒトの胃に生息し、胃潰瘍などの発生につながる細菌)が体内にいるとなりにくい」という新説も出てきました。ピロリ菌も寄生虫と同じく「免疫機能を調整する」役割を果たしていると見られています。
【3】についてはおもしろいデータが報告されています。花粉症でない外国人も日本に来て3~5年すると花粉症を発症しやすくなるというもので、花粉症は日本特有の風土病と言うことができるようなのです。
ではこれからの季節、花粉症対策として望ましいのは「マスクをする」「鼻を濡らす」のどちらでしょうか。
まず一般的な花粉症対策としてポピュラーなマスクの着用ですが、一定の予防効果がありますが、花粉の粒子はものすごく小さいため、呼吸ができればマスクの隙間から花粉も入ってきます。花粉を徹底ガードする超ハードマスクの場合、息苦しくてしかたがないそうです。ただ、花粉には湿気に弱いという面もあり、マスクの着用で、マスク内の湿度を高くすることにより花粉の吸収を抑える効果が期待できるでしょう。さらにはウエット効果が期待できる布マスクを濡らして“加湿器代わり”にすると発症確率は低くなります。
一方、鼻の粘膜をワセリンなどで濡らすことで予防効果があるのでしょうか? 鼻の粘膜は、乾燥すると粘液がなくなります。そのタイミングで花粉が鼻腔に入ると一気に花粉症が発症するため、実は鼻の粘膜を濡らすことは花粉症予防の効果として、マスク着用よりもはるかに絶大なのです。
花粉症には薬で予防する方法もありますが、それは次回ご説明します。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。
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