社会
Posted on 2018年10月30日 05:55

秋津壽男“どっち?”の健康学「先発医薬品とジェネリックはどっちにすべき?金額にも差があるが効能や副作用の出方に差が」

2018年10月30日 05:55

 薬局で薬を処方される際に「ジェネリック」と称される薬をよく耳にするかと思います。

 薬自体は、厚労省から安全かつ効能があると承認されたあとに、都道府県知事が許可した薬局やドラッグストアで販売されます。これまでにない新種の薬を開発する場合、認証されて販売されるまで、医薬品メーカーは長期間にわたり巨額の費用を投入します。時には10年以上かかり、開発費は数百億円とも言われます。

 こうした事情から、新薬は特許で保護され独占販売できるのですが、原則20年(最大25年)の特許保護期間が切れたあと、厚労省から認可を受けた別のメーカーが販売する「後発医薬品」がジェネリックです。

 英語で「一般的な」という意味を持つジェネリックは、開発費が抑えられるため、先発新薬の2~7割ほどの価格で販売されます。先発医薬品の特許のうち、新たな物質に与えられる「物質特許」と、特定の物質における新たな効能の「用途特許」、両方の満了が原則20年であるため、ジェネリック医薬品は先発医薬品と主成分が同じにできるのです。

 わかりやすい例でいえば、バイアグラです。ファイザー製薬社の特許が切れた2014年にバイアグラのジェネリック品が発売されています。

 この背景に、高齢化社会の到来により国家の医療費負担も増え、健康保険の財政が厳しくなっている事情があります。日本政府は、20年までにジェネリック全体のシェアを8割にするとし、10年前に処方箋の様式を変え、新薬かジェネリックかを患者が簡単に選べるようにしました。

 つまり患者はどちらでも自由に選べるわけですが、ここで問題です。処方薬としてジェネリックは希望するべきか、あるいは先発品にするべきでしょうか。

 厚労省が「安全である」と認可したジェネリックは国民の財布に優しく、国庫の負担もかからない薬ですが、実は懸念すべき点もあります。

 新薬を認可する場合、厚労省はものすごく厳しいルールのもとで何度もテストを行います。当然ながら副作用の多い薬などを販売するわけにいかないためです。しかし、ジェネリックの場合、新薬が市場に出回って数十年が経過しているため、新薬に比べて基準は緩くなります。

 例えば、新薬では「1日1錠でゆっくり長く効く」のに対し、ジェネリックでは「1時間で効くが半日で効果が切れた」といったケースがあります。

 これは、新薬に与えられた製造方法の「製法特許」や、新しい製剤方法の「製剤特許」が切れていない場合、ジェネリックは薬を溶かす技術を先発医薬品と同じにできないために生じる違いです。

 以上のような事情から、薬の効き方や効能、あるいは副作用の出方などに差が生じることもあるため、ジェネリック品の全てがいいとは言い切れません。

 つまり、答えは「財布に余裕があるなら新薬」「安く財布の負担を減らしたいならジェネリック」となります。まずは数週間ほどジェネリックを使ってみて、合うか合わないかを試してください。また、ジェネリックは1つの製品で10社前後が参入していますので、合わないなと感じたら別のジェネリックを使ってみるのも一つの手です。薬選びは浮気していいのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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