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記事全文を読む→集中連載ダルビッシュとマー君「異次元快投」の真相(1)
9月21日時点で日本ハム・ダルビッシュ有は16勝5敗、防御率1.45。楽天・田中将大は15勝5敗、同1.41。低反発球の影響で今季は防御率1点台の投手が数人いるとはいえ、それでも2人の数字は突出している。何より完投数が他を圧倒しているのだ。なぜ、彼らは異次元の快投を続けられるのか。真相に迫った。
「プロはプロらしくな」
斎藤佑樹と田中将大が甲子園以来5年ぶりに相まみえた9月10日のKスタ宮城は、今季2番目の観客を集め、2万809人のファンが2人の対決に酔った。
その前日の試合前練習のことだ。外野にいた楽天・佐藤義則投手コーチのもとに挨拶に訪れた日本ハム・ダルビッシュ有は、近くで体を動かしていた田中に、こう声をかけている。
「プロになって何年目になる? プロはプロらしくな」
ダルビッシュは田中がプロ入り5年目であることは百も承知である。名前こそ出さなかったが、田中が斎藤と投げ合うことを知り、あえて〝プロ〟という言葉を使って刺激したのである。それは暗に、5年間プロで培った経験の違いを見せつけろと言いたかったのかもしれないし、逆に敵チームとして揺さぶりをかけたのかもしれない。
そんな日ハム時代の教え子に佐藤コーチは、
「(あさって)中4日で投げるの? 今からメジャーの練習をやっているのか」
と茶化して笑った。カード最終戦に登板予定だったダルビッシュは、ニヤリとして自チームの練習の群れに戻っていった。
佐藤コーチは、こんなことを言っていた。
「田中の場合、まだまだ粗削りな面があるけど、技術的には申し分ない。ダルはもはや、われわれが何かを言える段階を超えている。気持ちが乗ってきたら2人ともとてつもない力を発揮するよ。今度のカードはそういうおもしろさもある」
コーチの立場を超えて、一野球人として2人の登板を楽しみにしていたというのだ。それは、佐藤コーチ自身の経験にもよる。オリックス時代、阪神淡路大震災を経験し、それをエネルギーにしてノーヒットノーランの最年長記録(40歳11カ月=当時)を達成した。同じように、ダルビッシュと田中も、震災という現実に向き合い、エネルギーに変えて戦う性格であることを知っているからだ。
「田中はプレッシャーがあるほうが燃えるタイプ。震災から半年、斎藤との対戦で、アイツは必ずやってくれると思う」
田中はその信頼に応え、斎藤との格の違いを見せつけた。最終回こそ、2アウト満塁から代打・二岡智宏に対してこの試合初めての四球を与え、押し出しの1点を許すが、終わってみれば118球完投で15勝目。一方、斎藤は10安打4失点ながら123球で、こちらも初完投を果たす。
「あの押し出しの1点が本当に悔しいです」
会見でひときわ大きな声を上げた田中に対し、斎藤は「5年間のプロの差を感じました」と淡々と話すのみだった。
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