芸能

川島なお美「前貼りなし」で挑んだ古谷一行とのベッドシーン「入っていた」伝説

 国葬の是非が国論を二分する。笑えない分断が、来たるべき混沌の時代を予感させる2022年秋。コロナ感染者は減少傾向を見せつつあるものの、なお「臨終」は、傍らに横たわることを止めない。ならば、著名人の墓碑銘を紐解くのも悪くはないだろう。

 2015年(平成27)年9月24日。川島なお美が死去。享年54。胆管ガンであった。手術拒否、抗ガン剤治療拒否の末の大手術など、波乱の闘病劇を演じた。思えば自身の人生もまた、常に話題とキャッチフレーズに満ちた54年と言えようか。

「お気楽女子大生」ブームの走りである、文化放送のラジオ番組「ミスDJリクエストパレード」では、「女子大生DJ」として人気を博し、「カンニング事件」なども、今で言う炎上騒ぎの先駆けでもあった。

「お笑いマンガ道場」(中京テレビ)のマンガ大喜利では、達者なイラストと当意即妙のコメントが話題になった。1982年~1989年のことである。

 そして1997年、ドラマ「失楽園」(日本テレビ系)でブレイクとなるのだが、言及したい作品は、2013年に公開された最後の映画出演作品「チャイ・コイ」。

 期待に違わず、「週刊アサヒ芸能」において「ニッポン女優『ベッドシーン遺産』ベスト100完脱ぎ編」(2022年8月18・25日合併号掲載)第7位の垂涎作である。

 原作は2002年、第2回婦人公論文芸賞を受賞した、岩井志麻子の官能小説「チャイ・コイ」。タイへの取材旅行に来た女流作家を演じるのが川島だ。

 現地に住むアクティブな姪の計らいで、いつしか旅先のアバンチュールにいざなわれる女流作家。絵に描いたような展開が、濃密なタイの街角の空気感、そして川島の存在感と共に、次第にリアリティーを醸し出す展開が心地いい。川島の相手は、兵役を逃がれてムエタイでの咬ませ犬として日々を送る、韓国人青年。異邦人の2人が魅かれ合うのに、時間はかからなかった。

 氷を口に含み、吐き出した氷を体に這わせる川島は、白水着で夜のプールを泳ぐ。そしてシャワーを浴び、ベッドに体を横たえる。

 男に触れた自身の指を愛おしくナメ回し、自らをその指でまさぐり、慰める川島。ショッキングピンクのワンピースが脱ぎ捨てられ、生まれたままの姿になった。あばらの見え方に熟感を抱きつつも、大きく突起したバストトップが眼福である。

 のけぞる足先、シーツをつかむ手、絡む指先。上気して見つめる川島の顔がせつなげだった。

 逢瀬を重ね、情事にふける2人。目隠しをされ、女性上位になり、男の手を縛る。

 エピローグ。画面に現れる文字は「摘み取ればたちまち萎む花 もぎ取れば後は腐るだけの果実」。

 思えば、「チャイ・コイ」とは、ベトナム語で「果実」の意。川島の生涯を懸けた「果実」を味わい尽くすのも供養である。

 川島はこの2年後に没する。

 時に「失楽園」で共演した古谷一行が今年8月23日に、78年の生涯を閉じた。「私の体はワインでできている」と並ぶ「子宮が呼吸できない気がする」との名言のままに、前貼りを付けず撮影に臨む川島を相手に「入っていた」との伝説を生んだ。

 昨今かまびすしいコンプライアンスの彼方に、作品が輝いていた時代である。以て瞑すべし。合掌。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身