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石破政権は日米合意の売り込みに躍起となっている。NHKの番組で自己弁護に汲々としている赤澤亮正経済再生担当大臣の姿を見るにつけ、「この男は何も分かっていない」との感慨が湧かざるを得ない。
「最悪の事態は避けられた」という石破政権の報告に当初は安堵を覚えた世論も、真相が徐々に明らかになるにつれ、驚きと不安を募らせているのが現状だ。外務省北米二課長、条約課長、経済局長といった立場で長年日米貿易紛争に取り組んできた経験に照らし、今次交渉の問題を因数分解したい。
第一は交渉姿勢だ。トランプを怒らせまい、「トラ」の尾を踏むまいとするあまり、腰の引けた交渉姿勢に終始した。問題の震源地はトランプ大統領。閣僚に下すにも限度がある。2月のワシントンでの首脳会談で関税引き上げについて申し入れ一つしなかったのに加え、最終局面のホワイトハウスでのやり取りも、総理自身がトランプと差しで行うべきなのに他人任せにした。長年にわたって自衛隊・防衛省関係者が石破元防衛大臣に授けてきたアダ名「石破ニゲル」にふさわしいパフォーマンスだった。
第二は交渉戦術だ。米、大豆、トウモロコシ、自動車、アラスカのガスといった飴ばかり提示し続けた交渉。政府間交渉でもビジネス商談でも、飴だけでなく鞭も必要なのは世の常識。なぜ、WTO提訴や2019年の日米貿易協定の下での米国産牛肉、豚肉に対する関税引下げの凍結・撤廃を梃に使わなかったのか。
喧嘩に勝つには、仲間づくりや相手の分断も必須だ。その観点からは、TPPへのEU加入交渉を始め貿易自由化の旗を掲げるべきだった。トランプ関税に懐疑的なアメリカ世論に働きかけるべく、駐米大使が米国メディアに打って出るなど取るべき方策はあった。にもかかわらず、全く音なしの構えは情けなかった。
第三に、最大の問題は交渉結果だ。そもそも合意文書が作成されていないのは驚天動地だ。日米双方が手前味噌な国内説明を続けていけば、紛議の的となるのは必定。既に綻びは露呈しつつある。貿易交渉の常道から逸脱した展開。これでは「引き下げられた」と安堵した関税がいつ引き上げられるか、民間サイドは不安で仕方ないはずだ。
自動車関税については、27.5%が15%に引き下げられたと石破政権関係者は胸を張るが、これこそトランプの戦術に踊らされているに過ぎない。WTOルールの下でアメリカが譲許(関税を勝手に引き上げないと約束した)税率は2.5%なのであり、実態は2.5%から15%に引き上げられたと捉えるべきだ。かつ、アメリカが国際法に違反して勝手に引き上げたにもかかわらず、その非を説くことなく、引上げ後の関税率を追認してしまった。
本来、相殺関税を含め、トランプ政権の間だけの緊急避難的措置であることを確認しておくべきなのに、その手当てがなされたとの説明もない。これでは、高関税がトランプ政権後も定着してしまう。ましてや、鉄鋼製品については、あれだけ日本製鉄が対米直接投資を絞り取られたにもかかわらず、50%の関税上乗せが続行している。開いた口が塞がらない。
もっと重症なのは投資だ。15%の関税を確保するためにこれほど莫大な代償を払うとは、まさに「歴史的」だ。日本が5500億ドル(約80兆円)もの投資をアメリカのサプライチェーン強化のためにトランプの指示に従って行い、利益の9割はアメリカに落ちる!!幕末の不平等条約の再来ではないか。
いったい、何をやっていたのか?第三国関係者も腰を抜かす大譲歩だ。合意文書を紙にして、国会に提出、審議すべきとの声を打ち消すことはできない前代未聞の内容。本来、これだけで内閣が吹っ飛ぶ次元の合意なのだ。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961・年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年・外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、2000年・ジュネーブ国際機関日本政府代表部参事官、07年・茨城県警本部警務部長を経て、09年・在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年・国際情報統括官、経済局長などを歴任。20年・駐豪大使に就任。23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「南半球便り」「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「歴史戦と外交戦」(ワニブックス)、「超辛口!『日中外交』」(Hanada新書)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)等がある。
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