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記事全文を読む→石田えり「福田和子を通して逃げることの本質を」/テリー伊藤対談(1)
1976年の芸能界デビュー以降、「釣りバカ日誌」をはじめ、多くの映画やドラマに出演してきた石田えり。今回は初の長編監督に挑戦。映画「私の見た世界」が近日公開だ。初対面の天才テリーはその魅力にメロメロ状態。映画への深い思いや降板したあの作品の裏話も訊いた。
テリー よろしくお願いします。お会いするのは初めてですよね。
石田 そうですよね。よろしくお願いします。
テリー さっきご挨拶した時にすごく素敵だなと思ったんですけど、石田さん、モテますよね?
石田 いえいえ、モテないですよ。全然ダメです。
テリー 何でダメなの?
石田 何だろう。千葉の田舎に引っ込んでるし。
テリー あ、今は千葉に住んでるんだ。
石田 はい。外食する習慣があまりないような場所で、周りにお店がないんですよ。だから飲みに行って、知り合うとかもないですし。
テリー へぇ。じゃあ、そのへんのプライベートなことは後で伺うとして。今回はもうすぐ公開の映画「私の見た世界」の監督ですよね。しかも福田和子(82年の松山ホステス殺人事件の犯人)を基にした主人公ということで。
石田 はい。
テリー 僕、石田さんがこういう映画を撮るんだってすごくビックリしたんですけど、何で撮ろうと思ったんですか。
石田 理由はいろいろあるんですけど、彼女を通して「逃げることの本質」を伝えられるんじゃないかっていう。やっぱり逃げるのって怖いと思うんですよ、常に追われているわけで、いつも神経が研ぎ澄まされてるんじゃないかって。
テリー 福田和子は逃亡生活を15年続けて、時効目前に逮捕されましたよね。
石田 そうですね。例えばイヤなことが目の前にあって、面倒だから見ないようにするのも一種の逃亡じゃないですか。だけど、見ないようにしてもそれは絶対消えずにあって、時々パカッとフタが開いたりする。私も怖がりで、逃げやすい性格なので、そういう生活ってどうなんだろうって興味が湧きました。
テリー なるほど。
石田 それと想像力がないと「この人は極悪人だ」って簡単に決めつけてしまうじゃないですか。でも、それって表面的だし誤解してしまうことも多いし、本当のことを見逃してしまう。
テリー 僕も、この映画を観て「あ、そういうことだったのかな」って、ちょっと彼女の印象が変わったところがあります。
石田 裁判で犯行が計画的だったか突発的だったかが争われた時に、最初は「計画的だった」ということになってたんですけど、福田和子さんはそこだけは譲らなくて。最終的に「計画的じゃなかった」という判決が出て、涙を流してたみたいで。だから、どういう思いで犯行に及んだのか、本当のところはわからないですけどね。
テリー そうですね。
石田 ただ、福田和子さんは手記の中で「10代の頃、刑務所でレイプされた」と。「自分に乗っている男が爬虫類みたいな顔に見えて、その奥で青く光っていた刑務官の制服がすごく記憶に残っている」と書いているんですね。だから、もしかしたら彼女にとってはその記憶が世の中の腐敗の象徴で。それがトラウマになっていてやってしまったかもしれないって、私個人的には思ったんです。
テリー 自分がレイプされた時とホステスを殺した時の構図が偶然にも重なってしまったんじゃないかと。
石田 ええ。彼女自身は本来明るい人だと思うんですよ。4人の子供にも愛されて、すごくいいお母さんで。それがどうしてこうなってしまったんだろうっていうのは、すごく考えましたね。
ゲスト:石田えり(いしだ・えり)1960年、熊本県生まれ。中学3年の時に熊本でスカウトされ、「チャーリー石黒音楽専門教室」で歌を習う。その後、1978年「翼は心につけて」で映画デビュー。1981年の映画「遠雷」では日本アカデミー賞優秀主演女優賞や新人女優賞に輝いた。その他の主な出演にドラマ「ウルトラマン80」「金曜日の妻たちへ」、映画「ちょうちん」「嵐が丘」「華の乱」「ダウンタウンヒーローズ」など。映画「釣りバカ日誌」では1987年〜1994年まで主人公・浜崎伝助(西田敏行)の妻役を演じた。2021年に「G.I.ジョー・漆黒のスネークアイズ」で、ハリウッドデビュー。7月26日から監督・脚本・主演を務めた映画「私の見た世界」が「シアター・イメージフォーラム」(渋谷)などで全国順次公開される。
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