スポーツ

山口健治の“江戸”鷹の目診断「取手全プロ記念」

早めの巻き返し 深谷知広の圧勝もある

 器用なレースができる選手には、落とし穴がある。「取手全プロ記念」(5月17日【土】~18日【日】)はレースの格はFII、2日間の短期決戦だが、S級S班の全4人を筆頭にトップクラスがそろう。選考順位の上位27人と、それ以降の選手は別競走になるだけに、実力伯仲の熾烈な戦いが期待できる。

 地元の大将格と言えるのが芦澤大輔。1月いわき平記念決勝戦2着、3月名古屋ダービーでゴールデンレーサー賞進出の戦歴は特筆していい。差し脚に切れ味があり、まくりも鋭くラインの先頭で戦うことも辞さない積極性は評価するが、その分、レースがどっちつかずになり、敗退するケースも目立つ。引いてはいけない展開で好位をあっさり明け渡すからで、本人も試行錯誤しているのだろうが、そろそろ戦法をはっきりさせる時期に来ている。

 芦澤に最も合っているのは飛びつきであり、イン粘りからの番手の競走ではないか。そうなれば、後位につける追い込みから信頼され、これまで以上に戦いやすくなる。浅井康太をはじめ大挙14人が出走予定の90期の一人、戦う追い込みのポジションを築く絶好の舞台だ。

 いつも小細工なしに先行する脇本雄太には、精神的に頼りにできる同県の先輩の参戦が心強い。師匠に等しい市田佳寿浩で、クラスは違うが周囲に気を配る性格の脇本をカバーしてくれるはずだ。

 さて、並びと展開。関東は芦澤─神山雄一郎の茨栃コンビと池田勇人後閑信一の埼京両者に分かれ、北日本は小松崎大地菊地圭尚。西日本勢は中部が深谷知広金子貴志─浅井の中部トリオ、近畿は脇本─松岡健介稲川翔で結束する。そして、九州の中川誠一郎井上昌己も有力。他では岩津裕介木暮安由が圏内と見た。

 主導権を取るのは小松崎か脇本。もがき合いもありそうで、中団を取る芦澤、まくる深谷に願ってもない展開か。

 本命は深谷。後ろを師匠と浅井が固めるだけに、早めの巻き返しから圧勝もある。金子の位置は狙われる不利があり、対抗は浅井。地元で気合いが入る芦澤が3番手評価だ。

 伏兵は市田、北津留翼守澤太志の3選手。歴戦の雄である市田は復活しておかしくない。自転車競技に強い北津留の先行力は軽視できず、守澤は、まくり一線級の相手にどこまで通じるか、試金石の2日間だ。

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

◆アサヒ芸能5/13発売(5/22号)より

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