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Posted on 2023年10月11日 17:58

とうとう「アンパンマン」まで…テレビは空前の「考察ブーム」で大盛り上がり

2023年10月11日 17:58

 1988年10月に放映が始まったアニメ「それゆけ!あんぱアンパンマン」。35周年を記念して、ジャムおじさんこと、ジャムがパン作りを夢見るようになった少年時代を描く、いわば「アンパンマン-0-」が10月6日に放送されると、「アンパンマン考察」が盛り上がりを見せた。

 なにしろ35周年記念回のラストは、名もなき旅人が砂漠を彷徨い、倒れてしまうところにアンパンマンが飛んで来るシーンで終わる。大きいお友達なら、今年の夏に夢中になったTBS日曜劇場「VIVANT」の冒頭、堺雅人が砂漠を彷徨い倒れるシーン、あるいは中島みゆきの「時代」の歌詞を否が応でも思い出してしまう演出だ。

 そこにアムロ…ではなく古谷徹演じる謎の男ポエムさんが登場。ポエムさんがアンパンマンと視聴者に「何が君の幸せ?」と問いかけて終わった。アンパンマンというより、スタジオジブリ作品のような余韻である。

 この夏にヒットしたドラマ「VIVANT」や「ハヤブサ消防団」、あるいはアニメ「君たちはどう生きるか」「呪術廻戦」をはじめ、この数年続くテレビの考察ブームは、とうとうアンパンマンを見ているチビッコ達にまで波及したようだ。

「何が君の幸せ?」「何をして喜ぶ?」は、原作者のやなせたかし氏が作詞した「アンパンマンのマーチ」の歌詞だ。高知出身のやなせ氏は実弟や従兄弟を第二次世界大戦中の「人間魚雷」で失っていることから生前、「アンパンマンのマーチ」の歌詞を特攻隊や人間魚雷と重ねられるのを嫌い、「正義のための戦争なんてない」「自己犠牲を歌っているが、それは会社の不正を内部告発して『余計なことをして』と非難されるような人のイメージ」と繰り返し述べている。

 作中、アンパンマンは仲間と一緒に楽しくパンや料理を食べているのに、作者自身は弟も従兄弟も海の藻屑となり、賑やかに食卓を囲む日は二度と来なかった。愛妻と死別後はひとりで晩御飯を食べるのが寂しい、貧しくても兄弟や従兄弟と食卓を囲んだ賑やかな子供時代の食事が懐かしいと、やなせ氏は2013年の「卒業制作展」に寄せている。

 残念ながら「アンパンマン-0-」が放映された翌日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルへの一斉攻撃を始め、戦争状態に。子供が次々とさらわれた。

 もしかすると全ての人気コンテンツ「考察」は、どうやったら「恨み」や「呪い」や「争い」を鎮静化し、第三次世界大戦が回避できるかという、今を生きる我々の切実な課題に行き着くのかもしれない。

(那須優子)

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