社会

蒸気機関車は元気なのに…東北復興シンボル「SL銀河」が廃止になったガッカリな理由

 東日本大震災の復興を支援する目的で2014年から走り始めた「SL銀河」。盛岡市で静態保存されていた蒸気機関車を修復し、盛岡車両センター所属の「キハ141系700番」台を客車にして釜石線の花巻駅と釜石駅の間を走った。

 客車の外装は花巻市出身の宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフに、内装は大正レトロをイメージ。東北のテイストをたっぷりと詰め込み、復興のシンボルとして高い人気を誇った。

 しかし今年、6月4日に定期運行を終了。1週間後の11日には臨時運行を終えた。廃止の理由をJR東日本は客車の老朽化だとしている。客車であればブルートレインのものを譲り受けたり、新造して運行を続けることができそうなものだが、SL銀河はそれが難しいという。鉄道ライターが語る。

「非常に険しい仙人峠を超えるのに蒸気機関車だけでは力不足で、客車のキハ141が後ろから押すようにして峠を登っていました。実際に乗車したことがありますが、仙人峠を登る時はキハ141のディーゼルエンジンがうなりをあげ、かなり力を出しているのが感じられました。そのため動力を持たない客車では運行することができないんです。新たな動力付きの客車を用意するのは困難なため、廃止になったんです」

 蒸気機関車のC58 239号機のほうは動態保存の状態で現在も調子が悪くないだけに、客車のせいで廃止になったのは残念。せめて蒸気機関車だけでも他のSL列車として運行してほしいものだ。

(海野久泰)

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