スポーツ

ここだけ!全国的に珍しい構造のレース場/日本全国「旅打ち」行脚~戸田ボート(上)

 雨が降ろうが槍が降ろうがギャンブルは続き、選手は走る。

 我がギャンブル史上最もすごかったのは、1988年に小倉で行われた競輪祭だ。決勝戦の直前に直径1センチはあろうかという雹(ひょう)が降ってきて、バンクを叩きつけた。レースはスタートし、もう誰も止められない。選手は雹に体を打たれ、目の前が霞む中、最後までバンクを駆け抜けた。

 3月にSGボートレースクラシック(第59回)が戸田ボートで開催された。4日目、3月18日は最大風速13メートルの突風が吹き、6Rで打ち切られた。前回の江戸川ボートも強風のため中止、順延になった。春先のボートはとかく天候に左右されやすい。

 戸田ボート優勝戦の3月20日も強風が吹き、午後から雨になるという予報だった。はたしてどうなるのか。

 12Rの優勝戦前に気温が下がり、暴風雨に見舞われ、レースが始まる頃には向かい寄り5メートルの風が、逆方向の追い風10メートルに変わった。前回、風に左右されやすい江戸川でも、最大7メートルほど。まさに風雲急を告げる悪天候となった。この風を味方につけることができるかどうか。それが勝敗を分けた。狙ったのは②毒島誠。3連単、総流し20点に各500円だ。

①吉川元浩51兵庫79期

②毒島誠40群馬92期

③土屋智則39群馬97期

④宮之原輝紀26東京118期

⑤桐生順平37埼玉100期

⑥平本真之39愛知96期

 トップタイのスタートを切った①吉川は、先にターンを回ったところで風に煽られたのか、バランスを崩した。その内をズバッと差したのが、②毒島。

「機力が少し劣勢だったので、勝つとしたら追い風ビュービューだと思った。勝因は風です」

 と優勝インタビューで語っている。毒島の後から最内を回った平本が2着、好スタートを切った宮之原が3着。3連単②⑥④3万7710円を的中。19万円近い払い戻しになった。

 毒島はこれまでSG8Vのスター選手。引き当てたエンジンの調整を連日、繰り返した。19日の準優戦でもピストンリングを交換し、優勝戦も再びピストンリングを交換し、調整に余念がなかった。天候要因以外でいえば、勝因はギリギリまで最高のエンジンに仕上げた姿勢だと思う。

 このレースはスマホの「テレボート」を利用して舟券を購入した。現地に出かけたのは前日19日。優勝戦の下見のつもりである。その効果満点だったというわけだ。その19日は結果からいえば、6打数4安打。以下はいつもの孤独のギャンブルだ。

 戸田ボートへは新宿からJR埼京線1本で20分ほど。意外に近い。駅前からは無料バスがファンを随時、ピストン輸送している。全国のギャンブル場で、これほど整然とファンをレース場に運んでいるのは、戸田ボート以外にない。無料バスすらやめたレース場もあるし、乗り場があっても本数が少なくてアテにできないのが普通である。戸田ボートへは歩いたら20分はかかるが、バスなら8分程度。戸田はバスに限る。

 ちなみに、ファンが一斉に帰るレース終了後は、レース場のバスのロータリーにズラッと長い列ができる。それを次から次にやってくるバスがピストン輸送する。

 戸田は全国でも珍しい構造をしているレース場だ。どこも同じように正面入り口を入ったところがホームスタンドになっていて、その前にコースが広がっている。

 ところが戸田はバスのロータリー横に、バック側からホームスタンド側に渡る「とだこうえんおおはし(戸田公園大橋)」がかかっていて、渡ったところが入り口だ。橋があるのは1マーク前方で、渡りながら縦にコースを見ることができる。ボートレースのコースはほとんどがまっすぐではなく、ブイに近づくと、急に斜めに切られている。とりわけ戸田はその角度が深い。1マーク直前で、ブイが急にスタンド側に寄っているのだ。そんな様子を見ることができるのはここだけである。

 入り口から入ると、場内を1マーク方向から2マーク方向に歩くことになる。行ったり来たりは直線300メートルを歩くことになり、あっという間に2、3キロに。いい運動になる。

(峯田淳/コラムニスト)

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