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記事全文を読む→林家つる子「呼ばれる回数は一番多かったと思います」/テリー伊藤対談(2)
テリー で、大学を卒業して(九代目林家)正蔵師匠に弟子入りしますよね。もう全国で優勝してるぐらいだから、迷いはなかった?
つる子 いえ、やっぱり弟子入りするためには師匠のところに突撃してお願いしなきゃいけないですとか、「修業」という言葉にすごく厳しいイメージがあって、すぐには決断ができなかったです。ただ、4年生の時に就活もしたんですけど、リーマン・ショックの世代で、全然受かりませんで。
テリー あ、そうなんだ。ということは就活がうまくいってたら、落語家にはならなかった?
つる子 自分に合った職業が見つかっていたら、もしかしたら。
テリー へぇ、ほんとに人生ってわからないね。それで、どうして正蔵師匠に?
つる子 そうですね。今も(母校の)中央大学の落研で顧問をしている黒田絵美子教授が演劇や新作落語の台本を書かれていて、柳家さん喬師匠にも提供しているような方で、弟子入りのことを親身に相談に乗ってくださったんです。当時、正蔵師匠の高座がすごく印象に残っていて、また師匠が女性のお弟子さんを採ったということを伺い、黒田先生とさん喬師匠が、正蔵師匠に繋いでくださったんです。
テリー 最近は住み込みの修業とかは、ほとんどないと思うけど、どんな修業時代だったんですか。
つる子 私は師匠のお宅の真隣りにある、師匠がお持ちのマンションの一室を使わせていただけることになりました。
テリー えっ、ということはタダ?
つる子 はい、光熱費だけ払えばいいという形で。兄弟子や姉弟子は近くにアパートを借りたり、実家から通っていましたから、たぶん私が歴代で一番近くに住んでいたと思います。
テリー でもさ、それってうれしいの? あんまり近いとすぐ呼び出されたりさ。
つる子 はい(笑)。呼ばれる回数は一番多かったと思います。
テリー そうだよね。「ちょっと来い」ってさ。パシリだよね。
つる子 アハハハハハ。そう言ってしまうと、かなり語弊がありますけど(苦笑)。
テリー 正蔵師匠って今、お弟子さん何人いるの?
つる子 今8人です。私は6番目で。兄弟子、姉弟子がわからないことは誰かが逐一教えてくださる状況でしたけど、やっぱり慣れないことだらけで。もちろん師匠のご家族もいらっしゃいますし、当時は結婚前で三平師匠もまだお宅にいらしたので。
テリー ああ、そういうことか! 師匠のお宅って(台東区)根岸のことだ。
つる子 そうです、そうです。
テリー じゃあ、おかみさんもいるんだ。(海老名)香葉子さんも。
つる子 もちろん。おかみさんと、「ゆっこおかみさん(海老名有希子)」という、師匠の奥様がいらっしゃいます。
テリー 香葉子さん、怖いでしょう。
つる子 アハハハハハ。でも厳しく、やさしく。女性の弟子ということもあったかもしれませんけど、ほんとに可愛がっていただいて。
テリー やめたいと思ったことは?
つる子 それはなかったですけど、「すごく辛いな」と思うことは‥‥。叱られてばかりの毎日だったので。
テリー 何で叱られるの?
つる子 基本的な家事のこととか、礼儀作法ですとか。
テリー 入門して5年で二ツ目に昇進してますよね。これって早くないの?
つる子 いえ、遅いほうです。3、4年でなる方もいらっしゃいますし、理事会が毎月、落語協会で行われるんですけど、「少し前座の期間を長くしよう」というお話もあったみたいで。
テリー ええっ、イヤな会議があったね。「ふざけんな、また1年延びるのかよ」って思った?
つる子 アハハハ! そうですね‥‥当時は少し、思ったかもしれないです(笑)。
ゲスト:林家つる子(はやしや・つるこ)1987年、群馬県生まれ。中央大学在学中に落語研究会に所属し、全国女性落語大会で優勝するなど早くから頭角を現す。2010年、九代目林家正蔵に入門。2015年に二ツ目、2024年に先輩11人を飛び越え、女性落語家として初の「抜擢真打」に昇進した。古典落語に加え、創作落語も手がけ、特に「芝浜」「子別れ」などの古典の名作の主人公をおかみさんに変え、女性視点で描き直す試みが注目され、多くのメディアで取り上げられた。現在、「林家つる子全国ツアーにっぽん全国つる浦々」の真っ最中。また7月11日から20日まで「鈴本演芸場七月中席夜の部 林家つる子主任興行」が行われる。詳細は林家つる子の公式ホームページまで。
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