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記事全文を読む→林家つる子「新作を聞いた師匠は『おもしろい挑戦』」/テリー伊藤対談(3)
テリー 僕ね、落語界の昇進の仕方とかって全然知らないんですけど、二ツ目になるには何か試験とかあるんですか。
つる子 いえ、落語協会の理事会からのお達しがありまして。「前座の上から何人までを半年後に二ツ目に上げようか」という話が出るかどうかは、その時の理事会次第なんですけど。
テリー 要するに年功序列みたいなものなんだね。で、その9年後に今度は「抜擢真打」になりますよね。しかも「先輩11人を追い抜いて」ということなんですけど。この「抜擢真打」っていうのは?
つる子 二ツ目も真打も普通は「上から何人が1年後に昇進します」という形で順繰りに上がっていくんですけど、稀に先輩方を追い越して真打になることがありまして、それが「抜擢」です。過去ですと、私の12年前に春風亭一之輔師匠と古今亭文菊師匠、古今亭志ん陽師匠のお三方がなられています。
テリー それまで女性ではいたの?
つる子 初めてです。
テリー スゴいじゃん!
つる子 ただ、もちろんうれしかったんですけど、やっぱりプレッシャーと恐怖がのしかかって。
テリー それは協会の師匠方が普段の寄席とかを見て、「いいねぇ」って認めてくれたってこと?
つる子 定かではないのですが、もしかしますと、普段の寄席ですとか、あとはいろいろな挑戦をしていることを知ってくださっていたのかもしれません。
テリー 挑戦というのは「子別れ」「芝浜」「紺屋高尾」といった古典落語の名作に登場するおかみさんとかを主人公にしたっていう。
つる子 そうですね。スピンオフと言いますか。
テリー これはすごく話題になって、テレビとかでも取り上げてましたよね。どうして、こういうことをやろうと思ったんですか。
つる子 やりたいと思ったのは、実は前座の終わりぐらいで。師匠方の「子別れ」や「芝浜」を聞いている時に、描かれていないおかみさんのシーンがすごく気になったんです。それで「もしかして、こういう場面だったかな」っていう想像が膨らんできたので、いつか形にしたいと思っていて。ただ、思い悩む時期もありまして、なかなか取り組めずにいました。
テリー 二ツ目になると、師匠の身の回りのことはしなくていいんですか。
つる子 前座の頃は毎日でしたが、そうではなくなります。
テリー 電話がきても居留守とか使いますよね。
つる子 いえいえ! でも自分が切羽詰まっている時は‥‥わからないかもしれません(笑)。
テリー そうですよね。そうすると時間的にも余裕ができて、スピンオフを作り始めて。それは師匠に相談するというか、「師匠、作ったので聞いていただけますか」っていうのはやるものなんですか?
つる子 ほぼ新作ですし、師匠に聞いていただかなければ高座にかけられないことはないんですが、ただ挑戦していることはお話をしようというので、出来上がった後に言いました。師匠をゲストにお招きした会で初めて師匠にも聞いていただいて。
テリー 師匠は何と言ってくれたんですか。
つる子 ありがたいことに「おもしろい挑戦だから、つる子らしく続けていったほうがいい」っていうお言葉をいただけて。師匠は女性目線というよりは、性別関係なく、「つる子の挑戦としてこれから育てていってほしい」と言ってくださいました。
テリー お客さんは?
つる子 「そういう視点もあったのか」ですとか。「芝浜」に関しては、「初めて話に合点がいった」って言ってくださるお客様もいらして、おもしろがってくださったっていう印象が大きいですかね。
テリー でも、落語ファンには「古典を勝手にいじるな」みたいな人もいるんでしょう?
つる子 そうですね。でも、実際に見ていただいたお客様から好意的なご意見を頂けたので、それがすごく糧になってますね。
ゲスト:林家つる子(はやしや・つるこ)1987年、群馬県生まれ。中央大学在学中に落語研究会に所属し、全国女性落語大会で優勝するなど早くから頭角を現す。2010年、九代目林家正蔵に入門。2015年に二ツ目、2024年に先輩11人を飛び越え、女性落語家として初の「抜擢真打」に昇進した。古典落語に加え、創作落語も手がけ、特に「芝浜」「子別れ」などの古典の名作の主人公をおかみさんに変え、女性視点で描き直す試みが注目され、多くのメディアで取り上げられた。現在、「林家つる子全国ツアーにっぽん全国つる浦々」の真っ最中。また7月11日から20日まで「鈴本演芸場七月中席夜の部 林家つる子主任興行」が行われる。詳細は林家つる子の公式ホームページまで。
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