社会
Posted on 2025年09月07日 08:45

ローカル線廃止の新たな現実「赤字」より恐ろしい一発アウトの災害リスク

2025年09月07日 08:45

 鉄道が廃止になる最大にして唯一の理由は、利用者の減少による慢性的な赤字。ただし、実際には廃止が噂されながらも長期にわたって営業を続けてきた路線も少なくない。

 だが、突発的に発生する不確定要素が廃止の引き金になってしまう場合があり、近年そうしたケースが急増している。具体的には豪雨や地震などの天変地異による被災だ。
 
 2015年以降の10年で廃止になった路線・区間は10路線。このうち2021年4月廃止のJR日高本線の鵡川―様似間は15年1月の高波による土砂流出、24年4月廃止のJR根室本線の富良野―新得間は16年10月の台風で橋梁損壊など複数箇所で深刻な被害を受けたことが直接的な原因だ。

「どちらも以前から乗車人員が少ない区間。被災しなくてもいずれ廃止となった可能性が高く、復旧は採算に見合わないと判断されたのでしょう」(交通インフラ問題に詳しい大手紙記者)

 これは20年4月付で廃止となったJR大船渡線の気仙沼―大船渡間、JR気仙沼線の柳津―気仙沼間についても同じ。11年3月の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、気仙沼線は12年から、大船渡線は13年からBRT(バス高速輸送システム)に転換された。つまり、この10年の間で廃止になった路線・区間の4割が災害に起因していることになる。

 この他、22年8月の大雨で路盤流出など以降不通となっているJR津軽線の蟹田―三厩間も27年春の廃止が決定。23年6月30日から7月1日の豪雨で今も不通のJR美弥線は、8月にJR西日本と山口県や沿線自治体との間で復旧断念とBRT転換の合意が交わされたことが明らかになった。

 一方、被災したローカル線でも東日本大震災でほぼ全線にわたって通行不能となった三陸鉄道、11年7月の新潟・福島豪雨で複数の橋梁が流出したJR只見線は廃止を免れ、長い時間を費やしたものの全線が復旧。三陸鉄道は国が復興のシンボルとして全面的に支援し、只見線は線路などの鉄道施設を福島県と沿線自治体が所持、JR東日本は運行に専念する上下分離方式を実現させたからだ。

「三陸鉄道は特殊なケースだと思いますが、ポイントはすべての沿線自治体が復旧を望み、多額の税金を投入できるか。また、それを実現させる政治の力や世論も重要です」(同)

 いずれにしても被災して長期間の運休に追い込まれた時点で、廃止にリーチがかかった状態といえそうだ。

(滝川与一)

※写真は、2022年8月の大雨で被災し、27年春の廃止が決定したJR津軽線。長期間の不通で線路は雑草だらけだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    政治
    2026年10月05日 11:30

    アメリカ・トランプ大統領との首脳会談の場を利用し、高市早苗首相への的外れな口撃に終始したのは、中国の習近平国家主席だ。日本のメディアは米中双方が「同盟」という言葉をどう使ったかなどと、表層の言葉尻を捉えて大騒ぎしているが、完全に本質を見誤っ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年10月08日 06:30

    夏の猛暑期に冷房を限界までフル稼働させていた愛車。カレンダーが10月になり、エアコンの設定を除湿冷房から暖房や送風へと切り替えた瞬間、送風口からモワッと漂う「酸っぱい嫌な臭い」に思わず顔をしかめた経験はないだろうか。その異臭の主因は、夏場に...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年10月06日 18:00

    昨年、アサヒグループホールディングスに不正アクセスを仕掛けた海外ハッカー集団の中枢メンバーが、なんと大阪で捕まっていた。10月6日の各国における報道によれば、日本の捜査当局が拘束したのは「Qilin(キリン)」の中心人物とされる28歳で、ロ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/29発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク