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記事全文を読む→【青森沖地震でわかったこと】「1200年後の日本国民へ」菅原道真が残した陸奥国大津波の地獄絵図とこれから起きる本震「日本海溝地震」
青森県で震度6を観測した12月8日夜の大地震を受けて、気象庁と内閣府は翌9日午前2時に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。対象となるのは北海道から千葉県まで、太平洋に面する7道県182の市町村。地震発生から1週間、大規模な地震と津波に備えてすぐ避難できるよう防寒着を枕元に置いておく、普段着で寝る、防災用品を見直しておく、などを求めている。
約1年前に本サイトで取り上げたが、令和の世と京都で祇園祭が始まった1200年前の貞観の世は似ている。北陸の大地震、富士山大噴火、阿蘇山大噴火、播磨国大地震…天変地異が続き、米は凶作、疫病(天然痘)が流行した。
さらに東日本を壊滅させたのが、869年7月13日の「貞観地震」で、菅原道真らが記した「日本三代実録」を紐解くと…。
〈陸奥国大海嘯(おおつなみ)あり。城邑を淹没すること数千許里〉
〈郡衙(ぐんが)・人民の溺死する者数千人〉
〈陸奥国言上。地震津波により田畑皆塩水に浸かり、今年の収穫絶望〉
〈人民飢餓に堪えずして、或は山野に逃げ、或は海に投げ死す〉
日本三代実録の記述はおぞましい。まず3年続いた大飢饉で〈人が互いに相食む〉、つまり人肉を食らうために殺し合い、口減らしのために子供を売ろうとしたが買い手がいないので家族で子供の肉を食べ、新しい死体の墓を暴いて食らいついたという。
菅原道真に惨状を報告した役人は「こんなことは書きたくないが、ここまで事実を書かないと、陸奥国の悲惨さが朝廷に伝わらない」と嘆いている。
飢饉に苦しむ民を今度は大地震と大津波が襲い、被害は太平洋沿岸の500キロ超に及んだ。仙台平野、石巻平野は水没(JR仙台駅の下に当時の津波の堆積層がある)。現在の宮城県多賀城市にあった多賀城にまで高さ6メートルの津波が迫り、津波による塩害は秋田県や山形県にまで及んだ。
民は海水に浸った田畑を捨てて山に逃げ、船を失った漁師は海に身投げした。東日本を壊滅させたこの貞観地震を引き起こしたのが、青森~茨城の沖合にある日本海溝だ。
今回、政府が初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を出したのは、地震が千島海溝と日本海溝の境目で起き、1200年ぶりに日本海溝が巨大な「陸奥国大海嘯(おおつなみ)」を起こすおそれが出てきたからだ。
2011年の東日本大震災、昨年の陸奥湾群発地震、カムチャッカ半島の群発地震に加え、今年3月、千島海溝の海底で地殻変動が観測された。沖合のプレートがゆっくり崩壊していくスロースリップが起きており、カムチャツカ半島から北海道沖の千島海溝、青森から茨城沖の日本海溝のプレートが連鎖崩壊する確率は、1000分の1から100分の1へと上がった。
菅原道真の記録では三陸沖地震の後、貞観地震が起きた。もし同じことが繰り返されるならば、東日本大震災は「予震」で、本震はこれから来たる日本海溝地震ということになる。
(那須優子)
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