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記事全文を読む→山健組・中田組長「無罪」を巡る「修羅第二幕」(1)大阪高裁での第2ラウンド
山口組分裂抗争で、最も過酷な運命を歩んだ男は、五代目山健組の首領・中田浩司組長ではあるまいか。神戸山口組のヒットマンとして逮捕され約5年間の勾留、その後無罪を勝ち取って六代目山口組の要職に就いた。この稀にみる経歴に、再び新たな1ページが記されようとしている。注目の控訴審に密着!
2月12日午後3時20分、大阪高裁の1002号法廷は沈黙と緊張に包まれていた。この日、開かれたのは六代目山口組(司忍組長)の分裂抗争時に発生した事件の1つ、19年8月の「弘道会系組員銃撃事件」の控訴審初公判だった。
傍聴席にはマスコミや警察関係者が詰めかけ、開廷1分前にはすべての席が埋まってしまった。それほどの注目が、この裁判に集まっていることがうかがえたのだ─。
事件は新神戸駅からほど近い、竹内照明若頭(四代目弘道会総裁)が率いた三代目弘道会(当時)の関連施設前で起きた。白昼堂々、スクーターに乗り、フルフェイスのヘルメットを被ったヒットマンが、降車しようとした同会系組員めがけて銃弾を撃ち込んだのだ。
組員は一命こそ取り留めたものの、右腕の切断をはじめ、大きな被害を受けることに。そして同年12月に実行犯として逮捕されたのが、当時は神戸山口組(井上邦雄組長)の中核組織だった、五代目山健組の中田浩司組長であった。
中田組長はその後勾留中に、山健組に神戸山口組からの離脱を指示。1年余の独立組織時代を経て、21年9月に六代目山口組に帰参した。
中田組長は現在、六代目山口組執行部として若頭補佐の任に就いている。
神戸地裁が中田組長に無罪判決を下したのは、24年10月31日のことだった。そこから14カ月後の今、ようやく当局の威信をかけた控訴審が始まったのだ。しかし、事態は早々に、予想外の方向に転がっていく。
この日、被告人席には中田組長の姿はなかった。法廷には4人の弁護人と1人の検察官、そして3人の裁判官だけで公判が進行される中、まず検察側が新たな証拠の採用、そして新たな証人の召喚を裁判官に求めた。
傍聴した司法記者によれば、
「検察官の言葉から、証拠も証人も複数だとわかりました。ですが、裁判長はそれをすべて却下。たまらず検察官は異議を唱えますが、それすらも即座に却下されました。そして審議に必要な証拠はそろった、と言わんばかりに、次回の公判が判決であると告げ、弁護士と日時の調整に入ったのです」
驚くことに、裁判はそのまま閉廷。時間にして、ものの3分で終わってしまったのだ。
一審判決では、中田組長が実行犯である可能性に言及しながらも、
「直接的な証拠がなく、別人である可能性が否定できない」
とされて無罪となった。それだけに控訴審では、検察側がなりふり構わず巻き返しをはかると思われていたのだが‥‥。山口組事情に詳しいジャーナリストが解説する。
「分裂抗争において極めて重要な事件、かつ中田組長という大物の逮捕・起訴が空振りに終わった一審判決は、当局にとってあってはならないことでした。だから控訴審で検察が提出する証拠や証人は、一審のそれよりも確度が高いものであるだろうと思われていました。それがまったく採用されないということは、やはり犯行に使用した拳銃や犯人の指紋、DNAなど、中田組長が実行犯であると示す直接証拠は、結局見つからなかったということでしょう」
中田組長にとっては、第2ラウンドのゴングが鳴った途端にレフェリーが試合をストップ。そのまま、試合結果を決める判定に移ったに等しい状況だと言えるだろう。
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