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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~高市総理の3月訪米は死活的に重大!トランプにきっちり伝えるべきは「中国大暴走⇒米軍危機⇒日本の国防激震」~
この3月、高市早苗総理が訪米する。高市嫌いのオールドメメディアの大半はまず論じようとさえしないが、数多ある日本の総理大臣の訪米にあって、日本の国益にとって死活的に重要な訪米となるのは必至だ。
いったいなぜか。第一に、そのタイミングである。
4月には米トランプ大統領の中国訪問が予定されている。2027年に国家主席としての第三期終了を控えた習近平の中国が、今年あるいは来年、台湾海峡でなんらかの動きに出てくることは当然に覚悟しなければならない。トランプが習近平に送るメッセージ次第で、台湾有事が抑止されることにもなれば、白紙手形を手渡すことにもなりかねない。
したがって、今回の訪米では高市総理は、日本の立場と考え方をトランプの耳と頭にしっかりとインプットしなければならない。煎じ詰めれば、安易なディールを戒めつつ、伝えるべきことは以下に尽きよう。
台湾が万が一にでも中国に併合されるようなことになれば、台湾のみならず、東シナ海の制海権と制空権が人民解放軍の手中に落ちる。この結果、沖縄等に配置されている米軍がたいへん危険な状態に直面するのみならず、尖閣諸島、沖縄、さらには日本全体の国防が絶対的な危機に陥る。このような事態を看過すれば東アジア、西太平洋におけるパックス・アメリカーナは終焉し、トランプは「台湾を失った大統領」として歴史に名を残すことになる――。
重要なのは、台湾有事を念頭に置いた対中政策の、日米間の擦り合わせだけではない。
日米関税合意の適切な実施も大事だ。
「令和の不平等条約」と称すべき一方的な約束を、前任の石破政権から引き継がざるをえなかった不幸は、同情に絶えない。と同時に、これを廃棄するわけにもいかないのが、日米関係の重みと日本の国柄だ。
米国最高裁が相互関税の賦課を大統領としての権原逸脱と判断してもなお、別の法的根拠を持ち出しては15%の関税をかけ続けようとするトランプ政権。前代未聞のこうした政治的現実を前にして、いかに日本の国益を守っていくのか。
今のレートで換算して、日本円で85兆円にも上る対米投資もある。「日本は銀行」とそしられて終わることがないよう、どう転がしていくかが難問中の難問だ。オハイオ州の天然ガス火力発電にせよ、テキサス州の石油積み出し施設整備にせよ、日本国、日本企業がどのように裨益するのか、説明を尽くしていかなければならない。
今後のプロジェクト選定にあたっても、アメリカのサプライチェ-ン強化だけでなく、日本のサプライチェーン強化にも資するプロジェクトを、粘り強く求めていく胆力が必要となる。
防衛費の増額も急務だ。NATO諸国でさえGDPの5%(防衛費3.5%、インフラ整備1.5%)を求められている国際情勢にあって、日本への敵意をむき出しにする中国、北朝鮮、ロシアという核兵器保有国に囲まれている日本。2%で事足れりとしている場合でないことは、戦略論のイロハである。
日本として率先して防衛力増強の姿勢を示し、足らざるところについて同盟国アメリカの支援と補強を求めていく基本的姿勢こそが肝要だ。
せっかくの訪米である以上、成功裡に終わった昨年のトランプ大統領の訪日を土台にして、首脳間の信頼関係をさらに上積みしてもらいたい。
これは訪米日程によるため実現するかどうかわからないが、個人的には3月18日(日本時間)にマイアミで決勝戦が行われるワールドベースボールクラシック(WBC)で、日本代表とアメリカ代表がともに勝ち上がり、日米頂上決戦を二人で揃って観戦したら、さぞかし絵になることだろうと思う。日米両国は基本的価値・戦略的利益を共有するだけでなく、野球を共有する間柄だからだ。大谷翔平のパワー漲るホームランをトランプに見せつければ、日本の力を適切に評価するのに資するだろう(笑)。
以上、換言すれば、衆議院選挙で圧勝したからこそ、有権者の信頼と絶大な支持を踏まえて矢継ぎ早に対応を迫られているのが高市政権だ。その高市外交の正念場が、迫りくる訪米なのだ。
詳しくは、3月中旬に発売予定の拙著「高市外交の正念場」(徳間書店)をお読みいただきたい。怒涛のごとき時代の激流と混乱を極める国際情勢の真っただ中にあって、いかに重要な訪米であるか、理解していただけよう。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年に外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年に茨城県警本部警務部長を経て、09年に在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年に国際情報統括官、経済局長を歴任。20年に駐豪大使に就任し、23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)、「拝米という病」(ワック)などがある。
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