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記事全文を読む→ぶっちぎり10連勝の阪神・高橋遥人は「2013年の田中将大」に到達するか…横たわる「投球回数」問題
「田中将大まで、あと14勝」
阪神・高橋遥人が開幕から無傷の10連勝を達成した夜、虎党にはこんな期待が芽生え始めた。まだ遠い数字だとわかっていても、今の高橋ならひょっとすると…。そんな盛り上がりを止められないのだ。
7月1日時点の成績を見ると、その充実ぶりがよくわかる。12登板で10勝0敗、防御率1.29。投球回数は90回2/3で5完投4完封、奪三振85。防御率はセ・リーグ2位の山野太一(ヤクルト、2.08)に0.79もの差をつけての独走である。
開幕から4完封、バッキー以来60年ぶりとなる3試合連続完封も達成した。交流戦ではパ・リーグ球団に3勝0敗、防御率1.29。「投げている球は日本最強級」という評価は、もはや阪神ファンだけのものではない。
この連勝でよく引き合いに出されるのが、冒頭で挙げた田中将大による「2013年に記録した24勝0敗」だ。10勝から24勝まで、あと14。まだ遠いが、今の高橋の投球を見ていると、そこに手が届くのではないかと思わせる何かがある。
田中の2013年は、楽天初のリーグ優勝と日本一というチームの物語を背負いながら、28登板中、先発した27試合全てでクオリティースタートをクリアする一年だった。防御率1.27、勝率10割、5カ月連続の月間MVP受賞。個人記録の枠を超え、ひとつのシーズンを支配し切った証だ。今の高橋がどれだけ驚異的でも、その高みはやはり途方もなく遠く感じる。
まずはその手前に目指すべきものがある。セ・リーグの開幕連勝記録、13だ。1966年の堀内恒夫が打ち立て、2020年に菅野智之が並んだこの数字に、高橋はじりじりと近づいている。菅野はその年、10月の広島戦で初黒星を喫し、記録はそこで途切れた。堀内と菅野が並ぶ13連勝ラインに高橋が差し掛かるのは、夏になる。ここを抜ければ、60年間も破られていないセ・リーグ記録の更新だ。
プロ9年目で初めて開幕ローテーション入り
高橋の10勝がなければ、阪神の首位争いはもっと苦しいものになっていたはずだ。月間MVPは3・4月、5月で2カ月連続受賞。沢村賞や最多勝、最優秀防御率、さらに阪神が優勝すればリーグMVPまで見えてくるが、問題は「最後まで投げ切れるか」だ。
この不安には裏付けがある。高橋は2022年に左肘のトミー・ジョン手術を受け、翌2023年にも左尺骨の短縮術と左肩の手術を受けている。たび重なる故障を乗り越え、プロ9年目の今季、初めて開幕ローテーション入りした投手だ。これまで最も多く投げたシーズンで109回2/3。それが今季はすでに90回を超えている。この登板ペースをどこまで続けさせるのか。首脳陣は白星を伸ばすことと故障のリスクとの間で、難しい判断を迫られる。
高橋の数字は、文句なしに怪物級だ。だが田中の24勝0敗は、勝ち星を積み上げただけでは届かない領域にある。シーズンを最後まで支配し切った者だけが立てる場所。まずは菅野と堀内の13連勝ラインに届くのか。そしてその先に、本当に「マー君の背中」が見えてくるのか。阪神ファンの夏は、まだ始まったばかりだ。
(ケン高田)
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