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記事全文を読む→“六代目山口組 特定抗争指定解除のXデー”山口組総本部「63年の物語」(2)特定抗争指定解除へ高まる機運
総本部と本家の機能について、ここで改めて説明しておこう。まず、山口組では、直系組長が輪番で総本部に詰めて、内外の組織との対応など実務をこなす「総本部当番」を設けている。これと並び、やはり直系組織が持ち回りで務める「ガレージ当番」があり、これらの統括役として「総本部当番責任者」が置かれてきた。
総本部で行われてきた重要な行事の1つが、前述した月に1回開催される定例会だ。組織トップと直参が一堂に会して鉄の結束を固める会合である。
さらに、12月13日に1年を締めくくる行事として「事始め」も行われてきた。舎弟、若中を代表した直参が親分から盃を交わすとともに、その年に昇格した直参と親分との盃儀式も執り行われる。その意味で、最も重要な儀式と言える。
一方の「本家」とは、山口組組長の居所を指す。そもそも、山口組中興の祖・田岡一雄三代目の居宅である本家は神戸市の生田区橘通(当時、現在は中央区)にあった。63年頃、それが現在地である灘区篠原本町に移転された。当時は、橘通に残った本部と移転した本家は離れた距離にあり、本家には直参が輪番で当番を務めるために通っていた。総本部が「本家」として現在の住所に根を張って、およそ63年が経過したことになる。
しばらくして本家に隣接する土地(約600坪)が売りに出されると、山本健一若頭を中心に直参たちが資金を出して、隣接地を購入して親分に献上しようとした。ところが、組員の資金で買ったものを受け取ることを良しとしない田岡三代目が「組員みんなのものにしなさい」と話したという。そこで、主だった直参が資本金と取得費用を持ち出し合って76年に法人「東洋信用実業株式会社」を設立し、法人名義でその土地を購入した。
78年には、本家は山口組の抗争の歴史を彩る舞台にもなった。田岡三代目が京都のクラブ「ベラミ」で銃撃されて始まった「大阪戦争」の終結宣言が、報道陣を招いた2階の大広間で、山本若頭らによって行われたのだ。
その後、81年に田岡三代目が死去すると、その本家を「山口組総本部」として活用するため、誕生したばかりの竹中正久四代目体制の執行部が、相続人から不動産を買い取る案が浮上。そのために設立されたのが「株式会社山輝」で、同社の株式は直参の組長が持つ形で出資された。
ともに、山口組総本部に属する不動産を管理する会社で、いずれも代表には、六代目山口組の最高幹部が就任している。
「ちなみに、六代目体制では傘下の組長にも組事務所を法人名義にするよう指導してきました。組長が引退して新たな後継者が組事務所を引き継ぐ際に組織の共有財産として残しておきたいとの意図があり、この時の前例が教訓となっているのです」(地元関係者)
渡辺芳則五代目体制が発足すると、旧田岡邸が総本部、隣接する建物が「本家」として渡辺五代目の住居となる。司組長の就任後は、五代目の本家を改築。定例会が開かれる大広間や執行部の応接室、直参が詰める事務所などの機能を2つの棟で分散させつつ、「総本部」として一体で利用されるようになった。
体制発足の05年に司組長が服役したため、組長の居宅として利用されることはなかった。出所以降は神戸ではなく、出身母体の弘道会本部がある名古屋市内に本家を置いている。
「暴排機運の高まりを受け、田岡三代目の墓所に隣接して建立された歴代組長や功労者の慰霊碑も総本部敷地内へと移設され、同所で法要が執り行われるようになっていました。先人への礼節を重んじる司組長にとって、総本部はますます重要な場所になりました」(ジャーナリスト)
25年1月に井上組長宅放火事件が起きたのを最後に、対立組織との間で、抗争事件は発生していない。
つまり、特定抗争指定を続ける理由が当局側にもないのだ。
解除の条件が整い、冒頭で触れたように、無住の地となって荒廃が伝えられる総本部の改修を前提に、傘下組織で修繕と清掃の要員のほか、当番に当たる組員のリストアップも進められていると伝えられる。
司組長と六代目山口組直参の悲願である総本部への「里帰り」がいつ実現するのか、当局による「指定解除」のⅩデーが注視されるのだ。
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