社会
Posted on 2026年08月25日 06:30

猛暑で変わる農家の働き方「夜型農業」が防ぐ「野菜・果物大量盗難」被害

2026年08月25日 06:30

 記録的な猛暑が続く中、農家の「働く時間」が変わりつつある。日中の炎天下を避け、早朝や夕方以降に農作業を行うケースが増えているのだ。実はこの「夜型農業」が、深刻化する農作物の盗難対策という面で、思わぬ効果を発揮する可能性が出てきた。

 近年、果物や野菜などが畑から大量に持ち去られる被害が相次いでいる。特に収穫期の高級果物は狙われやすく、丹精込めて育てた作物が一晩でなくなってしまうケースも。今年7月には福岡県でブランド梨5000個が盗まれる被害が発生。この農家は2年連続で狙われてしまった。

 防犯カメラやセンサーライト、柵などを設置する農家は少なくないが、広い農地すべてを機械で監視するのは簡単ではない。そこで浮上するのが、猛暑によって広がっている夜間・早朝の農作業だ。
「昼間は暑すぎて、とても長時間の作業はできません。気温が下がる時間帯に収穫や手入れをする方が、作業する側にも作物にも負担が少ないのは確かです」(農業関係者)

「いつ行っても農家の人がいるかもしれない」窃盗犯へのプレッシャー

 そんな農家が増えれば、これまで人の目が届きにくかった時間帯に、農地に人がいる状況が生まれる。窃盗を企てる側からすれば、「いつ行っても農家の人がいるかもしれない」という状況は、それだけで一定の抑止力になるだろう。

 もっとも、夜間は暗く、視界が悪くなるため、防犯上のリスクが高まる面はある。夜に農作業をすれば盗難が防げる、という単純な話ではないのだ。照明や防犯カメラ、近隣農家との情報共有などと組み合わせることが重要となろう。

 とはいえ、猛暑による「生活時間の夜型化」が、思わぬところで防犯につながる可能性が高まる事実は興味深い。墓参りやアウトドア、観光など、暑さを避けて夜に動く人が増える中、農業もまた「昼に働く」という従来の常識から変わり始めている。
 もしかすると日本の農業に「夜に働く」という新しい選択肢を定着させるきっかけになるのかもしれない。

(カワノアユミ)

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