社会
Posted on 2024年04月01日 05:59

「無血&死罪ゼロ」奇跡の百姓一揆を成し遂げた幕末リーダーの画期的作戦

2024年04月01日 05:59

 歴史上、無血で百姓一揆を成功させた人物がいる。幕末に信濃国伊那谷で起きた南山一揆のリーダー、小木曽猪兵衛だ。

 江戸時代に起こった百姓一揆は、約3000件にも及ぶといわれている。百姓一揆はその要求が認められても、リーダーは通常、死罪になる。最も有名な人物は、下総国佐倉藩領(現・千葉県成田市)の木内惣五郎(佐倉惣五郎)だ。彼をモデルにした「佐倉義民伝」は怨霊伝説を生み、講談や歌舞伎の題材になった。彼を祀る祠や神社、寺は成田市の東勝寺「宗吾霊堂」など、全国に30カ所以上も存在している。

 ところが小木曽は自身も含め、誰ひとりとして死罪になる人間を出さなかった。

 文化12年(1815年)生まれの小木曽は、江戸で漢方医の浅田宗伯に学び、地元に戻ってからは本業の農業のかたわら、寺子屋を開いて「大平のお師匠様」と呼ばれるようになった。

 転機は今田村など南山郷36カ所が、天領から飛び地として陸奥白河藩10万石の領地になった際に訪れた。幕府の直轄地である天領は、藩の領地より年貢が安い。ところが白河藩領になったことで、同藩郡奉行の務川忠兵衛は異国船出没のため物入りと称し、年貢を大幅にアップさせた。そのため安政2年(1855年)、小木曽らは嘆願書を提出したが、捕縛されて手鎖や入牢(じゅろう)の処分を受けてしまう。

 だが、転んでもタダでは起きなかった。その後、各地の一揆を徹底的に研究。「佐倉義民伝」を講釈に仕立てて圧政に苦しむ農民の士気を鼓舞し、安政6年(1859年)、1616人を引き連れて天竜川を渡り、隣接する飯田藩領を通過。市田に置かれた白河藩の市田陣屋を目指した。この時、一揆勢は総代の北沢伴助などを中心に、規律ある行動を取ったという。

 結局、飯田藩の仲介もあり「天領並みの年貢に戻せ」との要求が通って一揆勢は解散し、郡奉行の務川は罷免された。

 一方、一揆は数人が1カ月の入牢で済み、死罪はゼロ。この南山一揆を無血で終わらせた小木曽は、明治22年(1889年)まで生きている。

(道嶋慶)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2026年09月13日 11:15

    近年のネット環境の充実によって、高い売り上げを誇る公営ギャンブル。メディアを下支えする団体としても大きな役割を担っているが、最近は風向きが変わり始めている。ギャンブルライターが現状を語る。「日本の公営ギャンブルは競馬(中央・地方)、競輪、ボ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年09月14日 13:30

    8カ月ぶりに帰ってきたバス旅で最も存在感を放ったのは、看板を背負う太川陽介ではなかった。「路線バスで鬼ごっこ~太川陽介から逃げ切れ~【茨城・水戸】」(テレビ東京系)が、9月12日午後6時30分から放送された。鬼チームは太川陽介、草薙航基、村...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク