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記事全文を読む→スペイン高速鉄道で「68人死亡」の大惨事!鉄道自由化で「同一線路に異なる会社のダイヤ・異なる車両・異なる安全システムが混在」
スペインの高速鉄道で大惨事が発生した。
10月28日朝、首都マドリードと南部セビリアを結ぶ高速線のトレド県内で、国営レンフェの高速列車AVEが、停車していた民間のイリョの列車に後方から衝突。この事故により、少なくとも68人が死亡したとみられている。列車の乗客名簿には、日本人2人の名前が含まれているというが、実際に乗車していかかどうかははっきりしていない。
事故の直前、この区間ではコンピューターの故障で信号システムが止まり、列車が一斉に停止。ところが線路と信号を管理する国営機関ADIFの管制センターが、レンフェの列車に通常速度での走行再開を指示した。その先に、イリョの列車が止まったままだったのだ。
オスカル・プエンテ運輸相は、前方に列車がいるのに走行を認めた管制の判断を「説明のつかないもの」と批判している。
同じ路線での惨事は、これが初めてではない。今年1月にがアンダルシア州アダムス付近で、イリョとレンフェの列車が絡む事故が起き、40人以上が亡くなっている。なぜ、同じ路線で悲劇が繰り返されたのか。
従来の信号システムから欧州統一規格への切り替え工事の途中だった
欧州事情に詳しいジャーナリストが指摘する。
「これらの事故の背景には、スペインが進めてきた『鉄道自由化』が影を落としています。スペインはEUの方針に沿って高速鉄道の市場を開放し、2021年にフランス国鉄系のウィゴー、22年にはイタリア国鉄系のイリョが参入。その前提となったのが、線路や信号を管理するADIFと、実際に列車を走らせるレンフェやイリョなどの運行会社を切り離す『上下分離方式』の徹底です。競争によって運賃は下がり、利用者は大きく増えたのですが、便利になった反面、現場の負担は激増していきました」
これにより、複雑極まるシステムになってしまったのだ。
「ひとつの線路の上に異なる会社のダイヤ、性能の異なる車両、異なる安全システムが混在しています。しかも今回の区間は、従来の信号システムから欧州統一規格への切り替え工事の途中でした。平時は自動制御でさばけても、システムが止まれば全ての列車の位置を人の手で管理しなければならない。事実、ADIF職員の労働組合は事故の前から、長時間労働を警告していました。自由化で線路が混み合うほど、安全の要である管制にしわ寄せが及ぶ構造になってしまっていたのです」(前出・ジャーナリスト)
利便性のために、安全がないがしろにされてしまったのである。
(川瀬大輔)
1977年生まれ。国内外のビジネス、スポーツ、政治、社会問題を取材するフリー記者。
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