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記事全文を読む→自民党・鈴木俊一幹事長の「うっかり失言」が政権の危機を救った「衆院定数削減」の奇妙な奇跡
政治の世界では「口は災いの元」というのが古今東西の鉄則だが、どうやら永田町には「失言が政権を救う」という奇妙な奇跡も転がっているらしい。
臨時国会の最大のヤマ場とみられていた衆院の定数削減問題が自民党、日本維新の会、国民民主党の3党であっさりと手打ちになった舞台裏を覗くと、思わず吹き出してしまうような喜劇が演じられていた。
主役はほかならぬ、自民党の鈴木俊一幹事長である。本来、水面下の根回しや腹の探り合いこそが政治家の腕の見せどころのはずだが、鈴木氏はあろうことか、記者会見という衆人環視の場で「人口減少を反映すると、例えば31になる」と、
あとで出すはずだった折衷案の核心をポロリと口走ってしまったのだ。
党本部が血相を変えて、慌てて発言を撤回した姿は、隠しておいたヘソクリの場所をうっかり家族の前で明かしてしまったお父さんのようで、笑いを誘うものだった。
普段の永田町であれば、手の内を先に晒した時点で交渉はご破算になり、野党の猛反発を食らって立ち往生するのがオチである。ところがこの絵に描いたようなポカが、連立維持に頭を抱えていた高市政権にとっては瓢箪から駒の特大ホームランになってしまったのだから、世の中は分からない。
大物政治家の老練な芸当というよりもはや古典落語の域に
もともとこの問題は、連立参加の絶対条件として「身を切る改革」の看板を掲げ続ける維新が強硬に迫り、参院で過半数を持たない与党が国民民主をどう取り込むかで紛糾していた難題だった。維新が掲げる「45削減」には国民民主が断固拒否の姿勢を崩さず、下手をすれば政権の屋台骨が揺らぎかねない緊迫した状況だったのである。
そこに鈴木氏のうっかりぶりが、奇跡の化学反応を起こした。幹事長が口を滑らせた「31」という数字に、維新に主導権を握られたくない国民民主がすかさず飛びつき、「我が党の理論武装を受け入れさせた」と胸を張る口実を得た。
維新も手ぶらで終わる事態だけは避けたかっただけに、「戦後最大の定数削減だ」と実績を誇る言い訳が立ったのだ。
途中経過はどうであれ、合意がまとまったことに、自民幹部たちは胸を撫で下ろしている。策士が綿密に張り巡らせた謀略ではなく、幹事長のポカが連立の崩壊を防ぐ決定打になったのだから、これ以上の皮肉はない。
策を弄して墓穴を掘る政治家が多い中で、口を滑らせて難局を乗り切ってしまう鈴木氏の天然ぶりは、大物政治家の老練な芸当というよりはもはや、古典落語の域に達していると言ってもいいだろう。
(岡田哲司/政治ジャーナリスト)
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