スポーツ

山口健治の“江戸”鷹の目診断「山口健治杯」

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鋭い中団まくりで稲垣が決着をつける

 追い込み選手の成績は、目標にする先行の仕掛けに左右される。

 FI立川「山口健治杯」(9月2日【火】~4日【木】)は、今年が第6回になる。出走予定のS1は12人だが、その中には前橋オールスター(9月11日~)のファン投票12位でオリオン賞組の小倉竜二と、競走得点上位者による特別予選組の稲垣裕之が入っている。今回の実力ナンバーワンは稲垣。鋭いまくりで、主役の座は誰にも渡さない。

 小倉が厳しい戦いを強いられている。GII松戸サマー【2】●【2】(●は決勝レースの着順)から調子が悪いとは思えないのに、記念でも結果を出せずにいるのは、中四国の先行が手薄なことに尽きる。また、2着が多いのは目標を大事にするからだが、差し1着を増やしてこそ追い込み選手。これまでGIを2勝(99年、06年小倉競輪祭)しているが、もっと勝ちにこだわっていいのではないか。

 地元勢を引っ張る自覚を持って臨んでほしいのが、屋良朝春だ。先行を貫いているのは認めても、まだまだ精進してほしい。持ち味のカマシ先行を繰り出せばファンは納得するが、今回のメンバーは強力。決勝戦に進出すれば自信になる。

 さて、並びと展開。地元は埼京ラインで屋良─藤田竜矢、3番手は諸橋愛か。南関は和田真久留郡司浩平の99期両者に吉原智彦がつけて神奈川トリオ。郡司の前回りもある。北日本は福島の飯野祐太佐藤慎太郎。そして西日本は稲垣─吉村和之の中近コンビと、中川誠一郎─小倉─高原仁志で九州四国連合軍。他では、地元のベテラン、佐久間仙行と福岡の八谷誠賢が圏内と見た。

 先手を取るのは和田だが、すかさず屋良がカマす。飯野、稲垣、中川はまくり合戦になる。

 本命は稲垣。中団まくりで決着をつける。好調な中川は、稲垣より先に仕掛ければ逆転がある。ラインの長さで郡司の台頭も考えておきたい。小倉は中川の動きしだいで浮上する。

 伏兵は、真船圭一郎(福島・94期)、黒川茂高(滋賀・97期)、横山尚則(茨城・100期)の機動型3選手。

 真船と黒川は、返り咲き組。主導権を取れば前残りがある。横山は、やや行きっぷりがよくないのが気になる。同県の先輩・武田豊樹はデビュー当時、ためらいなく先行していた。関東勢を引き出せば、のちの戦いに必ず生きる。果敢な先行に期待したい。

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

◆アサヒ芸能9/2発売(9/11号)より

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