芸能

段取りは「テレビの果てまであるある」座談会(1)ご老人から次々と珍解答が

 人気番組「世界の果てまでイッテQ!」でヤラセ騒動が勃発。海外ロケでニセ祭りをでっち上げて放送していたというのだ。ところが、テレビマンたちからは「あれがダメならテレビは終わり」という悲鳴が漏れてきたのである。匿名ならと名乗りを上げた関係者が「イッテQ」など笑止! 演出・段取りのジョーシキを語り尽くした。

──今回は「イッテQ」のヤラセ問題を受け、皆さんの率直なご意見をお聞かせ願いたいと思います。

A 正直言って、バラエティー班は危機感が欠如してる。情報番組なら即刻番組中止だよ。いくらおもしろい映像を作るためだって、やっていいことと悪いことがある。

B でも、撮った映像をそのまんま流したって、おもしろい画にならないのも事実。その昔「電波少年」のアポなしの旅だって、途中で荷物が盗まれるのは、たいていはスタッフが隠したりしていた。何かを起こさないと番組にならないじゃない。ディレクターが自転車のタイヤに穴をあけてパンクさせて、タレントが「ヤバイよ~」ってなる。どの番組でも収録してきた映像にテロップや効果音、時に順番を入れ替えるとか、演出することで盛り上げているわけだし。「イッテQ」は、その編集技法が抜群だったから人気だったとも言える。

C 今回、ネット上では「ヤラセQ」とか炎上しているみたいだけど、僕の周りでは問題視されてないよ。あれがダメならおもしろい番組なんてできないって悲鳴が上がってる。その昔、バラエティー番組のクイズコーナーで解答者のご老人から次々と珍解答が飛び出すという名物コーナーがあったけど、あれだって編集のマジックだった。

A 「ご長寿をバカにしてる」ってお叱りがあって、あえなく終了しちゃったね。視聴者もバラエティー番組はフィクションだと笑い飛ばしてくれればいいけど、どうも最近はそれで許されない。やはり、イモトがマッキンリーを登頂したり、番組がドキュメンタリー調になってきたから、本気で信じてしまう視聴者も多くなったんだろうね。でも、個人的には同じ日テレでも、24時間走る企画のほうがヤラセっぽいと思うけど。

C 確かに24時間マラソンは、本当に走っているのか疑惑が持ち上がっている。西村知美が、絶対にたどりつけない距離を残して、世界記録を塗り替えるスピードで番組内にゴールした「ワープ事件」は有名だよ。

B あの番組はそもそも、走っている芸能人を一目見ようと、どこからともなく暴走族が大挙押し寄せ、野次馬パレードになってしまう。実際にマラソンを走った芸能人に聞いたら、排気ガスで気管支炎になるかと思ったと泣いていた。だから、番組では映像を遅らせて放送したりして場所の特定を防いでいるんだよ。

C トラブルの多い生放送なのに、時間内に走りきるなんて不可能と言っていい。その翌年の山田花子は番組終了までに走りきることができなかったよね。

D その年はウチのタレントも出演していたので現場にいた。会場の武道館の使用時間が過ぎて撤収に入るため、ゴールが外に変わったんだよ。裏の喫煙コーナーで到着を待っていたら、いきなりライトがバッとついて暗闇からランナーが登場した。あれはビックリした。

A ワープ走法の出口は喫煙所にあったのか!あと、チャリティー番組とはいえ、もちろん出演者にギャラは出てるしね。

D ウチの若い子が出演後に明細書を見て「エェ~ウソ! チャリティーじゃないんだ」と騒いでいるから先輩から「バカ! “有償チャリティー”を知らないのか」と叱られていた。

C 大物タレントが家族を連れてブタの貯金箱を会場まで持参したりするけど‥‥。

D あれはTシャツと一緒にスタッフから渡されるものだって──。

B ゴホン、それ以上はマズイかも‥‥。

A 今年は、みやぞんがトライアスロンに挑戦してたけど、正直、24時間マラソンは賞味期限切れだよね。近年、警備費用の問題で花火大会だって中止に追い込まれているんだからさ。

B まぁ当面、日テレで「祭り企画」はNGですけどね。

<座談会メンバー>

A:民放局情報番組ディレクター/B:制作会社スタッフ/C:放送作家/D:芸能プロ幹部

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