芸能

ビートたけしの名言集「何かに取りつかれたように小説を量産!」

「今度よ、河出から俺の小説の短編集が出るんだよ」

 3カ月程前から、殿はことあるごとに、冒頭の内容をわたくしたち、弟子にアナウンスしていました。

 で、徳間書店が発行するこちらの週刊誌「アサヒ芸能」の中で、ライバル出版社である河出書房新社さんの新刊を宣伝するのはやや気が引けますが、そこは“たけし案件”ということで目をつぶっていただくとして、ここで少しばかり詳細を──。

「北野武第一短編集純、文学」10月21日発売予定です。ちなみに、こちらの本の帯コメントが最高でした。

〈疲労もポン! これが小説の覚醒剤 by北野武〉で、こちらの連載でも何度か書きましたが、殿は2年程前から、小説を書く行為に夢中になり、毎日、夜中にせっせとキーボードを自分で打っては、コツコツと作品を仕上げています。

 つい先日も、

「今よ、○○の話を書いてんだけどよ、ちょっと○○について調べてほしいんだよな」

 と、最新作に必要な資料を弟子にお願いしてきました。もちろん後日、すぐに頼まれた資料を殿に渡すと、

「おう、サンキューな。これで今夜から書き出せるわ」

 と、まるでゲームソフトの攻略本を親から買い与えてもらった子供のように、“これを見て、今夜から徹底的にやるぞ!”といった感じで、受け取った資料を実にうれしそうに自分のトートバッグにしまっていました。

 で、殿が帯コメントでうたっていますが、わたくしには、小説を書く行為そのものが、今の殿にとっては、中毒性のある合法ドラッグに思えてなりません。とにかく殿は、何かに取りつかれたように、小説をガンガン量産しています。そして、必ずといっていいほど、弟子のわたくしたちに、新作のストーリーを事前に語って聞かせてくれるのです。

 1カ月程前にも、当時書いていた短編の中に出てくる、とあるケンカのシーンについて、わたくしたちに熱く語り出したことがありました。この時、殿はわたくしを、そのケンカのシーンで殴られ、ぶっ飛ばされる登場人物に見立て、主人公がどうやってケンカに勝ち、相手をぶっ倒したのか、といったバイオレンスな描写について、実際に殴るフリをしながら、至近距離で説明してくれたのですが、あまりの殿の迫力に、わたくし、ホントに殿に殴られるのじゃないかと心底ビビり、まったくストーリーが入ってきませんでした。

 そんな殿の新作を“たけし原理主義”なわたくしは、本屋に並べば即購入し、弟子特権を利用して毎回、サインをお願いしているのですが、殿はまともにサインを書いてくれたことが一度もありません。毎回、〈ビートきよし〉〈うんこ屋〉〈オリバー君〉といったサインを書き、ニヤニヤしながら渡してきます。多忙の中、時間を割いて書いた自分の作品なのに、なぜかサインになると、殿は途端に小説家でなく、芸人になって、ふざけてしまうのです。

ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!

http://www.owarai-kgb.jp/

◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
ボクシング・フェザー級「井上尚弥2世」体重超過の大失態に「ライセンスを停止せよ」
4
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
5
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか